New Tristram
Abd al-Hazir著

全ての物語がTristramと関わりがあると聞き、私はTristramについて思い起こすこととなった。Tristram……その名の想起するものは、Undeadの化物、魔の領域、狂王の王国、そして勿論、忘れてはならないものがある──”恐怖の支配者”の解放を……。多くの者たちが、パンや水が不衛生となり、そこに生えたカビなどを口にしたことによる幻覚が民衆を狂的な行動に駆り立てたと主張しているが、私はこのような主張を即座に却下するだけのものを旅路の間に余りに多く見てきたのだ。私が現在New Tristramと呼ばれる場所へ旅したけれど、それがいささか期待はずれであったのは、これから文中で述べることとなろう。

立て直された日付が何時なのかは正しくはわかっていないが、New Tristramは数年前から存在していた。古い大聖堂で一旗上げようと考えた冒険者や旅行者やそれを相手にする商人たちが行きかうことで、ゆっくりと街が復興された。大聖堂が荒らしつくされると、冒険者や旅行者は途絶えてNew Tristramの活気は斜陽となった。現在の街の建物の多くは陰鬱なテントや小屋であり、唯一人が住むのに適していそうに見えるものは旅館だけである。

私がこの憂鬱な場所から去る前に、逸話や知識を豊富に持った風変わりな老人から話を聞かされる機会があった。大聖堂の中深くには古代の起源と英知の書物が眠っており、まだ極めて価値ある場所だと彼は話続けた。私は彼の言葉を受け止めておく必要があろう。私が”Old Tristram”の焼け跡を探検している時、度胸の無さから伝説の悪名高き大聖堂へは数歩入る以外のことしかできなかったのだ。

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