Illidan Stormrage(WC3)IllidanはMalfurion Stormrageの双子であり、Malfurionと同様に”大分断”が起きるまでの一千年に渡ってTyrande Whisperwindの友人であった。Malfurionと異なり、IllidanはDemigod Cenariusを師としても尚Druidismの忍耐を持つことができず、学徒としては不十分であることが明らかとなった。しかしながらIllidanには魔法の才能があり、それはその時代のNight Elfにとってはより重要なことだった。

Illidanの魔法能力は、彼にとっては不満の解消とはならなかった。IllidanはNight Elfとしては珍しい金色の瞳を持っており、これはNight Elfの社会では偉大な存在の兆候とみなされていた。にも関わらず、Illidanは普通の存在であり偉大な何かを達成する予兆すらなく普通の存在そのままであった。Illidanは彼の眼が実際には強力なDruidとしての可能性を示していたことを全く知らなかった。

己の可能性は別として、Illidanは神秘の魔法にのめりこむと難解な魔法を学びとった。しかしMoon GuardはIllidanの成長を見ても彼をメンバーに加えようとはせず、Illidanは落胆した。それでもIllidanは他の者たちが金色の瞳を見て思い描くような偉大な英雄になるという決意を揺るがすことは無かった。加えて、Illidanは自身が英雄となるべきもうひとつの理由を得ていた。

ある祝祭の時、IllidanはTyrandeが踊るのを見て自身の心を知った。Tyrandeの優しさ、笑顔、美しさ、誠意、そういったものを長年に渡って愛していたことに気づいたのだ。Illidanのその感情は、Malfurionが遅れながらも自身と同じ感情をTyrandeに抱いているという事実を知って暗澹たる思いに捕らわれた。それは、必然的にTyradeがMalfurionか自分かを選択するのを見ねばならないからだった。Tyrandeが選択するその時にこそ、彼女から見て双子の内のどちらが立派であるかがわかることになるのだから。

Illidanは神秘の魔法を学ぶ努力をより一層励み、偶然ながらKur’talos Ravencrest卿の命を救う機会を得たことで自信を深めた。貴族であるRavencrest卿はIllidanを自らの子飼いの魔法使いとし、若い魔術師の勇気と魔法に信頼を置いた。不幸なことに、Revencrest卿を襲い殺しかけたDemonは古代のKalimdorに現れることとなる多数のDemonの先触れに過ぎなかった。Burning Legionの侵略は既に開始されていた。

▼古代大戦 – the War of the Ancients
Ravencrestは世界に侵入したDemonと戦うためNight Elfの軍を組織した。Moon Guardの将官が戦死すると、Illidanはその機会を逃さなかった。Illidanは生き残った魔術師の指揮をとり、Legionの尖兵を多数殺すとその戦果を広め目立つよう画策した。戦いはTwisting Netherから多数のDemonが訪れるに連れ激しさを増していた。

戦局が激しさを増す中て、MalfurionはRavencrestの命令を拒否してNight Elfの軍から去った。MalfurionはDragonflightに手助けを求めることを考え、危険な旅へと出ることを計画していたのだった。そのMalfurionの何者にも縛られぬ行動に、Illidanは感情に動かされるままTyrandeと逢い、自らの心を告白した。そして、MalfurionはDruidismを求める余り狂ったのだと付け加えた。TyrandeはMalfurionを心から心配しており、逆にMalfurionの兄弟であるIllidanに対してMalfurionの何を見ていたのかと非難した。Tyrandeの心は既に決まっており、そしてその相手はIllidanではなかった。DruidismでCenariusから見限られた時に続いて、MalfurionはIllidanが成せなかったことを何の努力も成しに達したとIllidanは考えた。加えて、今回のMalfurionの勝利はIllidanにとって非常に苦いものだった。何故なら、MalfurionはまだTyrandeに対する自身の感情を完全に自覚していなかった。Illidanの報われぬ思いは自身に影の如く常につきまとい、暗く深い感情に囚われ始めていることに気づいた。これが、汚濁を広める力を持つSatyr Xavius卿によって影響を受けたものだとはIllidan自身は気づかなかった。

Illidanは結局Night Elfの軍を辞めると別の目的のために活動し始めた。IllidanはBurning Legionの創造主たるSargerasを探し求め、Dark Titanに忠誠を誓う代わりに強大な力を得た。SargerasはIllidanの眼を灰と化し、焦げた眼窩に強化された魔法的な視力を与えた。更にSargerasはIllidanの体のあちこちに、強力な魔法的エネルギーで身体を満たす複雑な刺青を与えた。外見上から忠誠を誓ったことが明らかに判ることから、Illidanは後に”背徳者”(the Betrayer)と呼ばれるようになった。

一時的にBurning Legionを手助けしたものの、最終的にIllidanはMalfurionと他のNight Elfに協力した。IllidanとMalfurionは王宮に乗り込むと、HighbornがWell of Eternityで行っていたPortalを閉じた。この行為はSargerasがAzerothへと侵入して世界を破滅させる運命を阻止した。これとは別に、Portalが閉じられる直前にDath’Remar Sunstriderに率いられたHighbornの一団がLegionに抗ったとNight Elfの軍が報告した。

▼闇の道程 – A Darkening Path
Azerothは救われたが、Well of Eternityの魔法の濫用は結果として古代大陸Kalimdorを粉々に引き裂いた。新たな大陸が生まれ、Night Elfたちは波にさらわれる前に脱出を果たした。やがてHyjal山にたどり着き、Night Elfたちは安らぎを得ることができた。しかし、IllidanはWell of Eternityが崩壊する前にその強力な水を幾つかの小壜に満たしていた。

IllidanはLegionがいつかまた戻ってくるであろうことを確信しており、最初の犠牲多き戦いが終わった直後にも関わらず、神秘の魔法だけがいつか訪れるであろう第二の侵略からNight Elfを救ってくれると信じていた。そのため、IllidanはHyjal山の頂上付近に湖を探すと、みっつの小壜の中身を湖にそそいで第二のWell of Eternityへと変貌させた。Illidanはこの行為によって、他のNight Elfたちが自身を英雄として迎えるであろうと考えていた。だが、それは間違いだった。
後悔の念を抱く少数のHighbornを含めて、Night Elfの殆どはIllidanが行った行為を知ると恐怖を抱いた。IllidanはHighbornが再びWell of Eternityの力を独占しようとすると考え、彼らを攻撃した。Malfurionは遅れて到着すると、自身の双子を捕らえるのを手伝った。Illidanの兄弟であり、先の戦いの尊敬すべき英雄であるMalfurionにIllidanの運命が委ねられた。Illidanの力は強力であり、放置するには余りにも危険であると考えた。しかし、Malfurionは兄弟に死を与える決断はできなかった。その代わりに、しかし恐らくは死よりも悪いかも知れない運命をIllidanに宣告した。Illidanは永遠不滅の残りの人生を、牢獄に捕らわれることとなった。Malfurionの『慈悲』の思いの結果によって、地中深くにあるWatcherたちに見張られた牢獄に一万年の間Illidanは捕らわれたままとなった。

▼堕天 – Lost Soul: the Third War
Illidanの懸念は正しく、Burning Legionは第三次戦争の時に再びAzerothへと侵略を開始した。Night Elfの指導者であるTyrandeは冬眠するMalfurionとDruidを目覚めさせた。その過程でTyrandeはIllidanの牢獄を偶然発見し、彼が強い味方となってくれるであろうと考えた。Malfurionが止めたにも関わらず、TyrandeはWatcherが見張る牢獄へと向かった。WatcherはIllidanの解放を拒否し、Tyrandeと配下の者たちはWatcherを倒した。Tyrandeは捕らわれたIllidanと逢うと、Burning Legionの再臨と手助けが必要なことを告げた。IllidanはLegionとの戦いに同意した。しかし、永きに渡る不本意な拘束は、Illidanに辛酸を舐めさせていた。

IllidanはTyrandeに、民に対する忠誠心からではなく、Tyrandeの頼みだからこそ同意したのだと告げた。解放されたIllidanは、Felwoodの穢された森林へとTyrandeに従った。Tyrandeと配下の者たちは、眠るDruidを目覚めさせようとしているMalfurionを捜索した。解放したIllidanと話し、TyrandeはIllidanとMalfurionの間に会話を持たせ、彼に償いの機会を与えるようを説得しようと考えていた。

TyrandeがIllidanを一人残している間に、IllidanはDeath Knight Arthasから、Felwoodを穢す原因が”Gul’danの頭蓋骨”と呼ばれるArtifactに原因があることを告げられた。加えて、IllidanがArtifactを奪うなら、Arthasの主たるLich Kingが感謝するであろうことを説明した。実際には、ArthasはIllidanにArtifactのパワーを自身のものとさせるために誘ったのだった。Illidanは魔法への渇望を失っていなかった。魔法への渇望を別としても、確かに頭蓋骨のパワーを得ればFelwoodに巣食うLegionの手先を一掃することができるに違いなかった。Arthasの動機について疑いを抱いていたにも関わらず、IllidanはArtifactを奪うとその力を己のものとした。古代戦争の時にSargerasによって印を刻まれたIllidanは、更に頭蓋骨のフェルエネルギーを得たことでDemonへと変貌した。

新たに目覚めた力を使い、IllidanはFel Woodを穢していたDemonのリーダーであるTichondriusを倒した。Illidanが勝利すると程なくしてMalfurionとTyrandeが森林へと戻って来た。Illidanと逢った二人は、最初変貌したその姿をIllidanであるとは認識できず、強力なDemonだと思った。Illidanの口から何が起こったかを知ると、Malfurionは激怒し、Illidanの成し遂げたことを退けて非難した。MalfurionはIllidanをNight Elfの土地からの追放を宣言した。新たな罰にIllidanは驚くことは無かった。Malfurionは自身とTyrandeの力にすら不安を抱いていた。Illidanの独善的な双子は”安全な”魔法だけに自身を制限しており、Azerothに生きる者たちが過ぎ去る間もEmerald Dreamを歩むことしかしなかった。Illidanは双子が歩んだこのような生き地獄に満足することは絶対無かった。

最早何も無きIllidanには、力以外に求めるものは無かった。

▼Nagaとの同盟 – Alliance with the Naga
LegionがHyjalにて敗北した後、Demonlord Kil’jaedenはIllidanと接触した。Kil’jaedenはIllidanに、Burning Legionを裏切ったLich Kingを破壊するよう依頼した。そして、Lich King破壊の返礼として、Illidanが望むものを与えると約束した。Kil’jaedenの圧倒的な力に直面し、Illidanは引き受けざるを得なかった。

Illidanはこの依頼を果たすため、深海よりLady Vashjを含めたNagaの集団を召還した。かつてHighbornであったNagaたちは、Illidanだと知るとその魔法能力に敬意を抱き、Illidanに仕えることに同意した。その頃、Warden Maiev ShadowsongはIllidanの脱獄を知り、再び拘束することを誓っていた。Maievとその配下のWatcherはAshenvale Forestを抜けてIllidanを追跡し、Broken Islesへと辿りついた。その島のSargerasの墓所にIllidanとNagaたちは侵入していた。

MaievがIllidanに追いついたのは、IllidanがSargerasの墓所でSargerasの眼を手にした時だった。IllidanはそのArtifactを使用して逃走した。MaievはArtifactの影響で、配下の者たちともども海底に沈み行く墓所の中に閉じ込められた。この沈み行く墓所から脱出できたのは、Maievただ一人だけだった。

Illidanは配下のNagaを少数となったMaievとその手勢へと向けた。MaievはMalfurionへの急使を立てると、助けを求めた。MalfurionとTyrandeはWarden Maievを救うのに間に合ったものの、Illidanを捕縛するには至らなかった。三人のNight ElfはIllidanの後を追ってLordaeronへとたどり着くと、Nagaの魔術師とIllidanがSargerasの眼を使い強力な呪文を紡いでいることを知った。そして、MalfurionとMaievはその儀式を止めることに成功した。

怒りと苛立ちからIllidanは”凍てついた玉座”(the Frozen Throne)とそこに居るLich Kingを倒すためだったと話した。Illidanは、あえてKil’jaedenとの協定と依頼とをMalfurionには告げなかった。例え話した所で理解して貰えるとは思えなかった。いずれにせよ、Malfurionの干渉によってIllidanは失敗し、協定は無効となった。

MalfurionたちがIllidanを捕らえようとしたこの時、二人はTyrandeがArevass川の川下へと流され、Scourgeによって攻撃されていることを知った。IllidanはTyrandeのことを未だ愛しており、Tyrandeを助けるのを手伝うと告げた。Malfurionはためらったものの、TyrandeのためにIllidanと協力することを決めた。

Illidanと配下のNagaがTyrandeとその配下の者たちを取り戻し、Malfurionは彼らが戻るべき拠点を築いた。IllidanがTyrandeを救出したことから、MalfurionはIllidanの行った危険な儀式については眼を瞑ることを決めた。だが、MalfurionはIllidanに対し、二度とNight Elfに対する脅威とならないよう警告した。Illidanは既にかつての種族に対する興味を失っており、Malfurionの言葉に同意するとOutlandへとポータルを開いた。Illidanはそこで協定と契約とが破られたことに対するKil’jaedenの怒りを避けようと考えていた。Burning Legionは、失敗した者には容赦は無かった。

▼Outlandの支配者 – Lord of Outland
復讐の念に囚われたMaievは、Illidanの追跡を諦めようとはしなかった。Maievとその配下の者たちはポータルを越えてIllidanを追跡した。Illidanは数で勝られたことによりMaievに捕らわれた。しかし、この敗因はLady vashjを新たな同盟者を引き入れるためにNagaを送り出していたことで数で勝られていただけであった。新たな同盟者であるKael’thas Sunstriderとその配下のBlood Elfの一団は、魔法中毒の対処方法を得る約束によってOutlandへと訪れ、Nagaと共にMaievたちの手からIllidanを解放した。

Kael’thasはIllidanに忠誠を誓い、Outlandに存在する全てのポータルを閉じるのを手伝った。これによって、Twisting Netherからこれ以上Demonたちが訪れることを阻止し、Kil’jaedenの手から逃れようと考えていた。程なくしてOutlandの支配者であるMagtheridonという名のPit LordがIllidanたちの目標となった。IllidanはBlood ElfとNagaを率いてMagtheridonと戦い、その城砦であったBlack Templeを奪い取った。しかし、Illidanはゆっくりと勝利の余韻に浸る間も無かった。
Outlandのポータルを全て閉じていたにも関わらず、怒りの嵐と共にKil’jaedenはIllidanの元へと訪れた。IllidanはDemon Lordの力を過小評価していたことを悟った。Illidanは自分の軍を増すために一時的にOutlandに来たのだと言い訳したが、それによってKil’jaedenが怒りを静めることは無かった。しかし、Kil’jaedenはIllidanに最後の機会を与え、そしてその失敗が死をもたらすであろうと宣言した。

最早選択肢は存在せず、IllidanはBlood ElfとNagaを率いてAzerothへと向かった。Illidanの軍は、”凍てついた玉座”を守るScourgeの軍によってArthasとCrypt Lordが到着するまで足止めさせられた。ArthasとIllidanは一対一で戦い、そしてArthasが勝利者となった。ArthasはIllidanにAzerothを去り、二度と戻るなと警告した。

IllidanはBlack Templeへと戻った。Illidanの同盟者たちはOutlandのポータルを閉じたままにしようとしており、IllidanはKil’jaedanの処罰が来るべき日のために準備を整えている。

▼Illidan the Demon
ある特定のDemonたちと同じように、Illidanは自分がBurning Legionの下僕であるとは考えていない。実際に、Illidanは過去様々な時々においてLegionの同盟者であったり敵であったりと紆余曲折を経ている。Demonとしては稀なことに、IllidanはDemonへと変貌したにも関わらず元の正確の大半を維持したままである。Demonである彼は基本的に悪意ある存在であり、時として残忍でもある。しかしながらIllidanは、これまでの所かつての気高さの破片を僅かながら留めている。Illidanの野心と力に対する渇望とは必然的に対立を呼び起こし、危険で予測不可能な敵となることだろう。

Illidanのような事例が例外的なものであるため、どれ程の期間標準的なDemonと同様の行動をとらないかは推し量れない。

1 件のコメント “Warcraft:Illidan Stormrage”
  1. sui のコメント:

    ここの管理人さんは彼が好きなようですね。
    私と同じように。

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