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■Vol’jin: The Glory of the Darkspears
　Azerothに住まう残忍なTroll種族は他の種族から極めて恨まれていることで知られている。しかしながら、Darkspear Tribeとその指導者であるVol’jinだけは例外である。いまやVol’jinとDarkspear TribeはHordeにとって欠かせぬ一員となっている。Vol’jinはWarchief Thrallに戦略上の助言を与えていることで知られており、実際にVarimathrasとPutressら反逆軍によってUndercityが占拠された後、狡猾なTrollは再びこの都市を取り戻す一助となった。

　その業績に反して、Darkspear Tribeは放浪の歴史に悩まされてきた。かつてGrubashi Empireの強大なTrollの勢力によってStranglethorn Valeの大陸から追いやられた彼らは、遠い島に移り住むこととなった。しかし、その島が謎の海の魔女によって破壊されると、Hordeに保護を求めることとなった。その結果、ThrallはDurotar海岸沖のEcho Isleを新たなTrollの土地として与えた。Daelin Proudmooreの軍艦がOrcを滅ぼすために攻めてきた短い間は別として、Darkspear TribeはZalazaneが自らの中から台頭するまでは平穏に過ごしていた。

　Witch Doctor Zalazaneは自らの力によって狂気に陥るまでは、魔術の指導者の一人であった。しかし彼は、闇の魔術を用いて部族の者たちを奴隷とし、残酷なDarkspear Trollの一群を生み出していた。部族の者たち全てがZalazaneの支配を受けることを恐れたVol’jinは、速やかにEcho Isleを捨てる決断を下した。

　Vol’jinはEcho Isleの近くにSen’jin Villageを拠点として作ると、Zalazaneに対抗する前線として用いた。数年来、自らの力を示そうとするHordeの者たちがZalazaneと対面すべくEcho Isleへと向かい、多くの者たちがZalazaneの頭部を持ち帰りさえした。この勝利が邪なWitch Doctorの闇の魔術による幻術であることが見破れなかったのだ。勝利の証は、Sen’jin Villageに持ち帰られた数日後、真実の姿—-木製の牙が付けられた塗装された岩やココナッツ、或いはZalazaneの奴隷の頭—-を晒した。

　これらの妨害とHordeに関する難題についてThrallに助言をすることで時間を割かれているにも関わらず、Vol’jinはEcho Isleを取り戻すための作戦を着々と築いていた。今現在、Vol’jinはZalazaneに対する攻撃を開始する時が来たと信じている。Darkspearのリーダーとその片腕であるVaniraとChampion Uru’zinが祖霊から計画の裁可を得るべく待ちながらも、彼らはTrollの新兵を集め、Zalazaneの下僕たちに関する情報収集のための偵察活動を開始した。

　未だVol’jin側のTrollの戦力は不足しており、Echo Isleにて奴隷化されたDarkspearに数で勝られている。しかし、DarkspearはAzeroth上でも最も勇敢な戦士たちであることで知られている。加えて、多くの非Trollたちもまた強力を申し出た。Echo Isleを取り戻すことは、結果としてHordeにとっても有益なことになるだろう。

　Vol’jinもEcho Isleを取り戻すことによって同盟者たちにもたらされる戦略上の重要性を知っている。しかし、それよりももっと個人的な理由から奪還を願っている。Zalazaneの裏切りは、Vol’jinの死した父親Sen’jinが思い描いた運命である、部族の者たちがより良い暮らしを行えるように、という事に反逆するものであった。再びEcho Isleを取り戻すことで、Vol’jinは父に栄誉を与え、Darkspear Tribeに永遠の故国をもたらそうと考えている。

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　Lich King Ner’zhulの魂を束縛する鎧兜──Helm of Domination──が地面に落ち、その力の精髄であるRuneblade Frostmourneが砕け同じく地面に散っている。仰向けに倒れるLich King-Arthasのもとに、King Terenas Menethilの幽体が現れる。

Arthas「父上！　これで……終わったのでしょうか……？」
Terenas「そうだ、ついにな……彼のLich Kingは最早支配を失ったのだ、息子よ」
Arthas「よかった……目の前が暗く……私に……」

　Arthasが絶命し、力を失った手が地面に投げ出される。TerenasはArthasの瞳をやさしく閉じた。Tirion Fordringがゆっくりと二人に近づくと、TerenasはTirionの方へと向き直る。

Terenas「主たる存在無しではScourgeは無分別に振る舞い、この世界に対する更なる脅威となろう。支配は維持されねばならぬ。Lich Kingの存在は失われてはならぬのだ」

　Terenasの体が再び存在を失い消えうせる。Tirionが落ちた鎧兜を手に取ると、小さな囁きが聞こえる。その兜をTirionは正面から見据えた。

Tirion「余りに重い負担であるが……これは私が背負うべきものだろうな。最早他には手が──」
Bolvar「Tirion！」

　Tirionが呼び声に振り返ると、Frozen Throneに座したBolvar Fordragonが居る。

Bolvar「随分と重い宿命を手にしたようだな。だが、それは、君が負うべきものじゃあない」
Tirion「Bolvar！　なんと……酷い姿に……」

　Bolvarのその姿は、凍てついた場所に居るにも関わらず酷く白熱し、焼け焦げていた。最早、その姿からかつてのBolvarを見出すことすら難しい姿であった。

Bolvar「Dragonの炎によって焼かれてこの様さ。もはや生あるものの世界には、私の場所はないのだ」

　Tirionが階を上り、Frozen Throneに座るBolvarに近づいていく。

Bolvar「Tirion、私の頭上にそれを置くのだ。永遠を越える悠久に、私は忌まわしい者たちの看守役を務めよう」
Tirion「いや、駄目だ、友よ。そんな事をさせるわけには──」
Bolvar「やるのだ、Tirion！　君とそこに居る勇敢なる英雄たちには、まだ更なる運命が待ち受けている。この最後の一幕は……私がすべきことなのだよ」

　Tirionは覚悟を決め、兜をBolvarへと向ける。

Tirion「君のこと、この行為は決して忘れられることは──」
Bolvar「Tirion、私は忘れ去られねばならぬ！　世界に恐怖と暴虐が無くなったのなら、彼らに殊更ここで何が起こったのかを知らしめるべきではない」

　Tirionは頷き、Bolvarに兜をかぶせる。やがてBolvarの瞳が真紅の炎に揺れ、段々とBolvarの声がLich Kingのものへと変質して行く。

Bolvar「Lich Kingは死んだのだと、それだけを伝えるのだ」

　Frozen Throneの氷がLich King化するBolvarの全身を包み込んでいく。

Lich King Bolvar「そして、Bolvar FordragonもまたLich Kingと共に死んだのだ。行け！　この場所を去り、二度と訪れてはならぬ！」

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馬に乗った騎士が曇天のIcecrownのきざはしを駆け上る。それは、Argent Crusadeを率いるTirion Fordringその人であった。目深に兜を被り、鎧を纏った姿は立ち並ぶArgent Crusadersも同様であった。TirionはAshbringerを振り上げると、居並ぶ者たちを鼓舞した。

Tirion Fordring「準備はいいか、Argent Crusaders！　正義を知らしめる時が来た！」

暗転。

Icecrown Citadelの城内に、Runeblade Frostmourneがほの白い光を放ちながら浮かんでいる。Lich KingがFrostmourneへと歩み寄ると、年かさの男の声が何処からか聞こえてくる。

King Menethil「わかるかね、息子よ。最早お前は完全に閉ざされたのか？　The Lightの正義は必ずや行われよう。過去の罪がお前を捉えることだろう」

Frostmourneの奥、Lich Kingの正面にKing Menethilの亡霊が立っている。

King Menethil「今まで犯した残虐なる行為、口に出すもおぞましい存在の解放、世界に解き放たれた闇と太古の力……それらを清算することになるだろう」

Lich Kingの創造したモノ、支配するおぞましい存在たち。かつてはLich Kingに敵対した者までもが配下となっている。

King Menethil「私の魂こそがお前のなかの邪悪によって滅ぼされた最初の一人であった。だが、この刃の中に縛られた魂は何千にもなっている。そしてその魂たちは……解放を待ち望んでいる！」

床に豪奢な王冠が転がる光景。それは、Lordaeron王国の王位の証であり、かつてLich Kingの配下となったArthasが自らの父を手にかけた時に転がったものであった。

Tirion Fordringの指揮によって攻城兵器が準備されIcecrown Citadelの城門に一撃を穿つ。

Icecrown Citadelの中、Frostmourneの周囲には、King Menethilだけでなく更に数十、数百の亡霊たちが姿を現しており、形とならない霊魂が渦を巻いている。

King Menethil「息子よ、お前の防御網を見てみるがいい。正義の使徒たちが貴様の門前に集っているのだ！」

Lich KingがFrostmourneを手にすると、周囲の亡霊もKing Menethilの亡霊も消えうせた。

Lich King「来るがいい……Frostmourneが飢えているぞ……」

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■Quel’Delar: The Sister Blade
Dragon Aspectsは長きに渡りNight Elfたちと共に世界へと侵入する邪悪な者たちを阻止するために、強力な刃を創造した。これらは、”Quel’Serrarの刃”として知られている。最近この刃の内の一本が、Azerothの勇敢な者たちの手によって再び発見された。更に最近発見されたQuel’Serrarは、強力な力を持つ道具として再び敬意を受けている。しかし、その姉妹たる刃は、幾年にも渡って発見されることは無かった……。

Quel’Delarとして知られる剣は、最終的にHigh Elfと呼ばれることになるKaldoreiの一団によって所有され、代々伝えられて来た。最も最近では、勇敢なHigh Elfの戦士であるThalorien Dawnseekerによって行使された。ThalorienはTroll Warの時、故国たるQuel’ThalasとSunwell、Silvermoonを守るべく精力的に戦った。Scourgeが三次戦争の時に国を蹂躙しようとした時も、ThalorienはSunwellを守るべく防衛の最終ラインに立った。剣の力をもってしても、Arthasと彼が手にした伝説に名高いRubeblade Frostmourneの圧倒的な力には敵わなかった。

Quel’Delarは永遠に失われたかと思われた。

High Elfたちは故国の喪失の後、再び組織だって再建を開始した。この時、戦いを人生とした戦士であるLana’thelがQuel’Delarを手にした。その刃を振るう時は、程なくして訪れた。Prince Kael’Thas Sunstriderは軍隊を組織し、Illidan Stormrageと共にIcecrownに居るLich Kingを滅ぼす作戦を行った。Lana’thelはScourgeに対する復讐の念から、何も考える事無くすぐさま王子の後に従った。だが、彼女を待ち受けていたのは悲劇だけであった。Northrendの凍てつく丘で、ArthasはIllidanとKael’thasを退けた。遠征隊の殆どは殺され、生き残った少数の者たちは凍えた荒野で散り散りとなった。Lich Kingはそれらの者たちも一人ずつ追い詰めた。Lana’thelもまた、追い詰められつつあることを悟った。Lana’thelはQuel’Delarを使って全力を以ってLich Kingを攻撃したにも関わらず、Frostmourneの邪悪な力には全く届かなかった。Lich KingはLana’thelをAzeroth全土でScourgeの作戦を監督する責務を持つ集団、San’laynの女王たる不死者へと変貌させた。

女王Lana’thelは熱意をもって新たな任務を実行したが、自らの持つ刃を目にする度に以前生きていた時を思い出し、気が狂うような怒りが彼女の中で膨れ上がった。Lana’thelはこのようなモノを許すことができず、Icecrown中に響き渡る絶叫を上げ、Quel’Delarを粉々に砕くと自らの力の及ぶ限り全力で壊れた破片を振りまいた。

そして現在……。

Alliance、Hordeの両陣営の英雄たちは、この伝説的な刃を発見する見込みを僅かながら持っている。もしもそれを成し得れば、英雄たちはQuel’Delarを再度作り出すための叙事詩的な冒険に乗り出すことになろう。それを再び強力な武器に加工するためには、強力な材料と力の源たる存在が必要となるだろう。幾つかのClassがQuel’Delarを使うことができ、そして剣は異なったプレイスタイルに合わせることができる。Quel’Delarを使うことができないClassでも、SunreaverのBlood ElfとSilver CovenantのHigh Elfたちは、どのような有用な武器と引き換えにしてでも彼らにとってのこの歴史的な遺物と引き換えにしてくれるだろう。

探索は間もなく始まるだろう……。

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