Lich King Ner’zhulの魂を束縛する鎧兜──Helm of Domination──が地面に落ち、その力の精髄であるRuneblade Frostmourneが砕け同じく地面に散っている。仰向けに倒れるLich King-Arthasのもとに、King Terenas Menethilの幽体が現れる。
Arthas「父上! これで……終わったのでしょうか……?」
Terenas「そうだ、ついにな……彼のLich Kingは最早支配を失ったのだ、息子よ」
Arthas「よかった……目の前が暗く……私に……」
Arthasが絶命し、力を失った手が地面に投げ出される。TerenasはArthasの瞳をやさしく閉じた。Tirion Fordringがゆっくりと二人に近づくと、TerenasはTirionの方へと向き直る。
Terenas「主たる存在無しではScourgeは無分別に振る舞い、この世界に対する更なる脅威となろう。支配は維持されねばならぬ。Lich Kingの存在は失われてはならぬのだ」
Terenasの体が再び存在を失い消えうせる。Tirionが落ちた鎧兜を手に取ると、小さな囁きが聞こえる。その兜をTirionは正面から見据えた。
Tirion「余りに重い負担であるが……これは私が背負うべきものだろうな。最早他には手が──」
Bolvar「Tirion!」
Tirionが呼び声に振り返ると、Frozen Throneに座したBolvar Fordragonが居る。
Bolvar「随分と重い宿命を手にしたようだな。だが、それは、君が負うべきものじゃあない」
Tirion「Bolvar! なんと……酷い姿に……」
Bolvarのその姿は、凍てついた場所に居るにも関わらず酷く白熱し、焼け焦げていた。最早、その姿からかつてのBolvarを見出すことすら難しい姿であった。
Bolvar「Dragonの炎によって焼かれてこの様さ。もはや生あるものの世界には、私の場所はないのだ」
Tirionが階を上り、Frozen Throneに座るBolvarに近づいていく。
Bolvar「Tirion、私の頭上にそれを置くのだ。永遠を越える悠久に、私は忌まわしい者たちの看守役を務めよう」
Tirion「いや、駄目だ、友よ。そんな事をさせるわけには──」
Bolvar「やるのだ、Tirion! 君とそこに居る勇敢なる英雄たちには、まだ更なる運命が待ち受けている。この最後の一幕は……私がすべきことなのだよ」
Tirionは覚悟を決め、兜をBolvarへと向ける。
Tirion「君のこと、この行為は決して忘れられることは──」
Bolvar「Tirion、私は忘れ去られねばならぬ! 世界に恐怖と暴虐が無くなったのなら、彼らに殊更ここで何が起こったのかを知らしめるべきではない」
Tirionは頷き、Bolvarに兜をかぶせる。やがてBolvarの瞳が真紅の炎に揺れ、段々とBolvarの声がLich Kingのものへと変質して行く。
Bolvar「Lich Kingは死んだのだと、それだけを伝えるのだ」
Frozen Throneの氷がLich King化するBolvarの全身を包み込んでいく。
Lich King Bolvar「そして、Bolvar FordragonもまたLich Kingと共に死んだのだ。行け! この場所を去り、二度と訪れてはならぬ!」
« 閉じる