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Abd al-Hazir著

Tristramの廃墟を見た後、私はこの神秘性を秘めた古い大聖堂の地下に広がる迷宮と迷路との情報を探る必要性を感じ取った。元々この聖堂は、912年頃にHoradric修道院として建立された(秘められた集団であるHoradricの更なる情報については、私が記した古代の神秘なる伝承についての項目を見よ)。この建物は、後にZakarum大聖堂へと変えられた。伝説では、最初の修道院は伝説にあるDiabloを封じた地下牢獄の上に建てられたと伝えられている。それ故に、私たちは彼の解放から起こった畏るべき出来事の全てをTristramの名と関連付けて考えてしまうのだろう。

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■Diablo III序章:天、揺るがす時 – AND THE HEAVENS SHALL TREMBLE

悪魔Diablo、Mephisto、Baalが人々を隷属させようと”聖域”(the World of Sanctuary)にて猛威を振るってより二十年の月日が過ぎた。直に悪魔たちと戦った者といえども記憶は薄れていった……しかし、魂に刻まれた傷跡は未だ燻り焼け付いている。

Diabloがかつて世界へと侵入したその場所に天から彗星が落ちたのは、Deckard Cainが新たな悪の蠢動の手がかりを求めてTristramの大聖堂の廃墟へと戻ったその時であった。彗星はその燃える姿から不吉の前兆として知られている。そして、再び力を増す煉獄(Burning Hells)の魔の手と至高天より堕落した存在から定命の者たちの世界を守るべく英雄たちを集わせることとなろう。

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第二章 恐怖なるモノの帰還 – THE RETURN OF TERROR

■Khandurasの地にて – THE LANDS OF KHANDURAS

最後のHoradrimが死去してより年月が経った後も、西方諸国は発展し続けていた。多くの東方諸国からの巡礼者がKhandurasを取り巻く土地に定住し、やがて国となった。これらの国は土地問題や貿易路といった軋轢によってKhandurasと諍いを起こした。しかしこれらの些細な諍いは西方諸国の平和を乱す程ではなかった。そして、北方の王国WestmerchとKhandurasは貿易や物流において強い協力関係を結ぶべきであることが判ってきた。

Zakarumとして知られる法の側の宗教がWestmarch王国を始めとする北方公国全土に広がった。Zakarumは極東で始まった宗教であり、信者は自らの中の闇を捨て去り光へと没入することを祈願するというのがその教義であった。Westmarchの人々は、Zakarumの法をこの世界における神聖な任務として組み入れた。Westmarchは他の国も同様にZakarumの法を取り入れるよう積極的に働きかけ始めた。Zakarumの司祭たちが他の国の者たちに歓迎されているか否かに関わらず自らの教義を声高に話し始めるに連れ、WestmarchとKhandurasの間に不和が広がり始めた。

偉大なる北方の貴族LeoricがKhandurasの国に訪れ、Zakarumの名の下に王位を宣言した。Leoricは深く宗教に傾倒しており、司祭と騎士たちを部下としていた。Leoricとその側近である大司祭LazarusはTristramに向かうと町外れの朽ちた修道院を接収し、自らの権力を示すために復興させた。異国の王の支配を突如として受けることとなったため、当然のようにKhandurasの人々は不満に思った。しかし、Leoricはこれに対して実力と正義とを示して見せた。やがてKhandurasに住む者たちは、Leoricが闇の存在から人々を守ることだけを一心に考えていることに気づき、情け深いLeoricに対して尊敬の念を抱くようになった。


■覚醒 – The Awakening

LeoricがKhandurasの支配を得てから程なくして、修道院の地下深く、闇の中で眠っていた力有る存在が覚醒した。Diabloは自身が解放されつつあることに気づき、大司祭Lazarusの悪夢へと介在し、彼を自らの封印されている地下迷宮へと誘った。恐怖に支配されるまま、Lazarusは燃えるSoulstoneの玄室まで限界を越えて急いだ。最早Lazarusの肉体も魂も自分の意思のままにはならず、何かに促されるままに燃え盛るSoulstoneを頭上にかかげると、定命の者たちの世界で長い間忘れ去られていた言葉を口にした。

Lazarusの意思は破壊され、同時にSoulstoneも粉々に砕けた。Diabloが再び人間たちの世界へと降臨したのだ。DiabloはSoulstoneから解放されたが、長きに渡る封印によって弱体化しており、加えて世界に留まるための存在が必要だった。Diabloは定命の者を自らの肉体にしなくてはならず、失われた力をも再び取り戻さねばならなかった。偉大なる悪魔は自分の頭上の街に住む者たちを入念に探り、その中で最も強力な存在を自らのものとすることに決めた。それは、Leoric王であった。

これより数ヶ月に渡ってLeoric王は思考と感情を絡め取ろうとする悪意ある存在と密かに戦った。自身が未知の悪意ある存在の影響下にあることに気づいたLeoric王は、自らの内にある信心と正義とがこの悪意を退けることを信じ、このことを己一人の秘密として司祭たちに一切相談しなかった──これは、間違った行為であった。DiabloはLeoricの存在から高潔と美徳を焼き払い、彼の自我をむき出しにした。LazarusもLeoricと同様に悪魔の支配下に落ちていた。Lazarusは主たる悪魔Diabloの力を増すため、Zakarumの使途という隠れ蓑を使って主の密やかな蠢動と計画を誰にも気づかれぬよう画策した。

やがてZakarumの司祭たちとKhandurasの市民は、自分たちの王の変化に不安を感じ始めた。誇り高く意志強固であった筈のLeoricは、既に歪み捻じ曲がり変貌させられていた。Leoricは狂気に足を踏み入れ、自分の市政に反対する者に対して即刻死刑を命じた。更に、配下の騎士たちを近くの村々に派兵させ脅し、絶対の服従を人々に強要した。Khandurasの人々は、かつて高潔であった自分たちの支配者を”凶王”Leoric(Leoric the Black King)と呼んだ。

“恐怖の支配者”によって正気を失ったLeoric王は、徐々に親友や相談役をも遠ざけ始めた。法の団の騎士団長でありZakarumの高潔なる勇士であるLachdananは、国王の状態が明らかにおかしいと感じ取っていた。大司祭LazarusはLachdananの国王の行動に対する批判や問題を挙げ連ねることに事ある毎に警告を促した。LachdananとLazarusの間にある種の緊迫感が増した時、LazarusはLachdananをLerociの騎士と司祭の法廷に反逆罪で告発した。Lachdananはこの行為を莫迦げていると楽観視していた。Lachdananの国王に対する非難の動機は高潔さと公正さから出たものであり、王を敬愛する故のことであったと法廷で発言した。多くの者たちも、最愛の国王が変貌した理由を知りたがった。実際に、Leoricの狂気は最早白日のものとなっていた。法廷の顧問官たちは、Lazarusがこの悪意ある状況を生み出しているものではないかと薄々気づき始めてもいたのだ。大司教Lazarusは、Westmarch王国がLeoric王を退位させ、Khandurasを版図に加えようと計画していると王を唆した。Leoricは怒り、KhandurasとWestmarchの間に戦争が勃発した。

Leoricは相談役からの警句を無視し、Khandurasの軍に北へ向かうよう命じた。LachdananはLazarusによってKhandurasの軍をWestmarchに率いるよう指名された。Lachdananはこの戦争の必要性に疑問を感じていたが、国王の意思に従うことを騎士として義務付けられていた。司祭や高官の多くが外交面や特使として北へと旅立たねばならなかった。Lazarusはこの策略によって、相談役や高官など、自らの蠢動に気づき始めていたものを含めて厄介払いすることに成功した……。


■Tristramの黄昏 – The Darkening of Tristram

国王の変貌に対する詮索や疑惑を抱いていた相談役や司祭たちがいなくなったことで、Diabloは魂を破壊された国王を完全に支配することができると考えていた。しかしDiabloがLeoricを支配しようとすると、その魂は頑強に抵抗したのだ。DiabloはLeoricに対して執拗に支配しようと試したが、力の大半を失っていることもあってか長時間に渡って支配することが叶わなかった。Diabloは新たに無垢な宿主を求めねばならなかった。

DiabloはLeoricの支配を諦めたが、その精神は狂気のままに捨て置かれた。Diabloは己の肉体となるべき完璧な存在をKhanduras中に捜し求め、容易くすぐ近くに見つけ出した。主たるDiabloに命ぜられるまま、LazarusはLeoric王の唯一の息子であるAlbrechtを誘拐し、恐怖に怯える少年を漆黒の闇の迷宮の中へと連れ去った。少年の無防備で純粋な精神は恐怖によって溢れ、Diabloは容易くAlbrechtを完全に支配した。

苦痛と劫火がAlbrechtの魂を包み、醜悪な嘲笑が彼の頭の中を満たして思考を曇らせた。恐怖に身をすくませ、AlbrechtはDiabloの存在を感じた。それはAlbrechtを深遠へと、闇と忘却の深遠へとその精神を埋めようとしていた。Diabloは年若い王子の眼を通して今の状況を把握した。Leoricの支配を得られなかった失望が、Diabloに飢餓感を抱かせていた。しかし、Albrechtの悪夢によって飢餓感を満たそうとしていた。Albrechtの潜在意識深くへと手を伸ばし、Diabloは彼の魂が隠れた場所を露にすると恐怖を与えた。

捻くれた異形の姿が夢の中でAlbrecht自身の周りに現れた。恐怖に引きつる邪悪な相貌が彼の周りに踊り邪な言葉を歌った。全ての怪物たちがAlbrechtの想像が信仰の中から這い出し、肉体と生命を与えられた。脈打つ岩の体躯を持つ存在が生まれ、邪悪なる主に叩頭した。古代のHoradrimたちの遺体は古の地下墓所より起き出し、地下迷宮にゆっくりと徘徊した。狂気の声と悪夢とがAlbrechtの壊れつつある精神に対して最後の一撃を加えた。血に飢えたGhoulと悪魔とがAlbrechtの悪夢の回廊に撒き散らされた。

Horadrimの古代の地下墓所は恐怖の迷宮へと変貌した。Diabloの憑依によって力を与えられたAlbrechtの想像上の怪物たちは現世に実体を持つことになった。現実世界の境界線が歪み、破れ始めたことに対してAlbrechtは大きな恐怖を感じた。地下迷宮の中で煉獄が人間世界に近づき、その影響が出つつあった。地下迷宮の生物と空間は千変万化に変貌し、人々の絶叫がこだました。

Albrechtの肉体は完全にDiabloによって支配され、その姿も変化した。幼かった少年の肉体は大きくなり、蔦のような棘が肉体を突き破った。そしてその眼には炎が燃えていた。巨大な湾曲した角がAlbrechtの頭蓋から生え、肉体はDiabloの存在に合致するよう完全に変貌した。迷宮の奥底で、Diabloは力を増しつつあった。Diabloが再び力を取り戻した暁には人間世界を旅し、捕らわれた兄弟MephistoとBaalを解放しようとしていた。そして、三兄弟は再び地獄における正当な地位を奪い返すのだ。


■凶王の崩御 – The Fall of the Black King

Westmarchの士気高い軍隊に対する戦いは、目を覆わんばかりの戦死者を出して終わった。Khandurasの軍はWestmarchの守備軍の圧倒的な数に対してぼろきれのように引き裂かれたのだ。Lachdananは捕虜とならなかった者たちや戦死しなかった者たちを集結させると後退を命じた。結局、彼らは混乱状態となったTristramの街を見るためだけに戻ることとなったのだ。

Leoric王は自らの息子が行方不明となったことを知ると、狂気と苦悶から深い怒りを発露した。修道院で息子と一緒にいた少数の警護兵を死罪とした後、Leoricは街の者たちが息子を誘拐して監禁しているのだと思い込んだ。街の人々はAlbrecht殿下の所在を始め一切知らないと否定したが、Leoricは想像の中で人々の自分に対する悪意と計画を妄想し、裏切り行為に対しては相応の報復を行うことを宣言した。王が配下の評議会をTristramへと連れて行こうとすると、大司教Lazarusも奇妙なことに失踪していた。深い悲しみと判断力の欠如によって、Leoricは街の人々を大逆の犯罪者として処罰した。

Lachdananと彼に率いられた敗残兵たちが国王の元へと戻ると、Leoricは彼らに対して警護兵を派兵した。Lachdananもまた陰謀の一部であると信じ込み、帰還兵を含めて全員に死罪を命じた。Lachdananは最早Leoric王を救うことは叶わないと悟り、配下の者たちに抵抗を命じた。これによって起こった戦いは、最終的にHoradrimの神聖な領域であった修道院の地下へとその舞台を移した。LachdananはLeoricの哀れな警護兵たち全てを殺し、苦い勝利を掴み取った。

Lachdananたちは王を追い詰め、残虐な行為に対する説明を求めた。Leoricは王権と法に背いたとLachdananたちを呪い唾棄した。Lachdananは悲しみを押し殺して王に近づき、ゆっくりと剣を手にした。深い悲しみと怒りによって、全ての忠誠心は風の如く消えていた。Lachdananは狂いし王に剣を振り下ろした。

かつては気高い国王であった男は、死の間際に名状し難い絶叫とともに自分を裏切り死に追いやった者たちに呪詛の言葉を吐いた。自らの残りの命を捧げ、闇の存在にLachdananと他の者たちを永遠に罰するよう誓願したのだ。修道院の中心にて起こった最後の瞬間に、Khandurasの徳高く高潔な者たち全員が永遠に死した。


■Diabloの支配 – The Reign of Diablo

凶王は配下の司祭と騎士たちの手によって倒れ、若きAlbrecht王子は行方不明となった。そして、Khandurasの守護者たる存在はこれにて誰一人としていなくなった。誰一人として、いなくなったのだった。Tristramの人々は活気を失った街を見渡し、底知れぬ不安に襲われた。救いと慈悲を心より望んだが、その問題が最早彼らにとっても身近なモノとなっていることにやっと気づいた。不気味で奇妙な光が修道院の暗い窓辺を漂い、皮革を持つ生き物が教会の影から駆け出た。身の毛もよだつ叫びが地下深くから聞こえ、風に乗って辺り一体へと響いた。自然ならざる存在が神聖なる場所にはびこっていることは、最早疑いようも無かった。

Tristramを取り巻く街道では、人気の無い場所を歩き回る衣を被った騎手によって旅人が襲われた。多くの村人が他の街や王国へと逃げ出した。残った少数の者たちは夜出歩かず、修道院へは近寄ろうとしなかった。夜な夜な罪無き人々が誘拐され、邪悪なる魔物が宿屋を占拠していると云う噂話が囁かれた。王も無く、法も無く、軍も無く、最早街の人々を守るものは何一つとして無かった。人々は街の地下に住まうモノに襲われることを恐れていた。

やつれ果てた姿ながら大司祭Lazarusが失踪から戻り、街の人々に修道院が育ちつつある悪意ある存在によって占拠されたのだと示した。平穏と安堵を得るためという大儀によって判断力を鈍らせた住民は、Lazarusの言葉に踊らされるまま熱狂的に行動した。LazarusはAlbrecht王子が行方不明であることを街の人々に思い出させると、この少年を探すために修道院の地下に向かうよう説得した。人々は松明を集め、シャベルやツルハシ、鎌で武装すると、地獄の顎へと向かう大司祭の後へとついて行った。

大司祭Lazarusについて行った者たちを待ち受けていた恐るべき運命は、少数ながら生き残った者たちによってTristramに伝えられた。生き残った者たちの怪我は酷く、治癒術者の技術を集めてさえ救うことは叶わなかった。悪魔と妖魔の話が広がると、街の人々の心は畏れに支配され始めた。無知なるが故に恐怖に怯えざるを得なかった。

修道院の地下深くでDiabloは人々の恐怖を喰らっていた。Diabloは再び闇に沈み込むと、失った力を取り戻し始めた。”恐怖の支配者”Diabloは、身を休める闇の中で僅かに微笑した。何故なら、最早勝利の時は目前であった……。

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■Diablo III:デッカード・カインの日記 – Deckard Cain’s Journal

15th day of Jerharan,
1265 Anno Kehjistani

あの信じがたき出来事を、私は書き記しておかねばならぬ。どのように考え、悩み、苦悩しようとも、起こった事実は最早変えようもないのだから。我が君Leoric王は、子息Albrecht様の誘拐とWestmarchへの進軍といった立て続けの出来事によって、狂気に足を踏み入れてしまわれた。今、言葉に出せずに肌に感ぜられるモノがある。それを一言で云うのならば──恐怖であろうか。

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1st day of Damhar,
1265 Anno Kehjistani

果たして古き御伽噺は真実であったというのだろうか? 母に寝物語に聞かされた、勇敢なるHoradrimと煉獄の主(the Lord of the Burning Hells)の物語は真実だとでも云うのだろうか?

私は彼らの英雄的な行為と勇敢さに心打たれたものであった。謎めいたTal Rashaに率いられた神秘なるHoradrim……私も彼らと共にあったのなら、と、想像力をかきたてられたものであった。私は”Horadrimに連なる者”(Last of the Horadrim)として世界を旅し悪なる存在と戦うことを思い描いた。なんとも、若さ故のことであったか。

さて、これらの物語の根底には事実が存在するというのだろうか? だが、確かにそうであったと全ての証拠が示している。しかし、私の知識、考えを真剣に受け止める者が果たして居るのだろうか?

私たちの街の地下に闇の存在が埋まっているのだろうか? 若き日には鮮明に覚えていたあの物語は、年を取るに連れ段々と忘れてしまったのだ。

†††  †††  †††

12th day of Damhar,
1265 Anno Kehjistani

愚か者めが、この私の、なんと愚かなことか。私が直ぐにでも行動を起こしていたら、気づいたことをはっきりと口にだしてさえいれば死なずに済んだ者たちがおり、Farnhamは今あるように酒に逃避する大酒飲みの酔いどれなどにならなかったであろう。村人たちはLazarus──誰もが彼のことを心正しき大司教であると考えていた──によって行方不明となった国王の息子の捜索に借り出され、そしてその村人たちは云うもおぞましい最後を遂げることとなった。Lazarusは街に降って湧いた災厄の具現者であったろうか、それとも意図せずして引き起こされた出来事であったのだろうか?

夜は長い。私は座り、大聖堂から生じ始めた何かを聞き取り、そして往くべき道筋を、やるべきことを見据える。私は書を記さねばならぬ。これこそが、私たちを苦しめる悪を打ち破るための答えであるに違いないのだから。

†††  †††  †††

20th day of Damhar,
1265 Anno Kehjistani

新たな恐怖によって街の人々が逃げ出した。居るのは、Griswold、Pepin、Ogden、Farnham、”不運なる”Wirt、それに”公正なる”Gillian……残された者たちは数少ない。しかし、逃げ出した者だけでなく、新たに訪れた者もいる。Adria……新たに来た彼女のことをある者は公然と魔女とさえ呼ぶが、私は確かなことを何一つ知らない。確かに彼女は私の知らない神秘の知識に長けている。彼女は何故この最悪な時期にここへと訪れたのだろうか? なんにせよ、私は彼女にも何か意図があると感じているのだ。

†††  †††  †††

27th day of Damhar,
1265 Anno Kehjistani

毎夜、夜明けごとに新たな多くの冒険者が訪れて来ている。しかし、未だ英雄と呼ばれる程の者はいない。私は答えを見つけるために古い書物を探し続けている。私は彼ら冒険者のことをもっと真剣に考え、軽く扱うべきではなかった!

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1st day of Ratham,
1265 Anno Kehjistani

多くの冒険者の中に、一層際立った者が一人いた。寡黙であり冷静で、強奪と略奪にのみ興味を持ち、周りの者たちを落ち着かなくさせる雰囲気をまとっていた。私はこの英雄を、この放浪者を知っているように感じた。私は自分の過去を明かし、彼に私の知る限りの知識を与えた。私はそれが充分であることを祈っている。

†††  †††  †††

21st day of Ratham,
1265 Anno Kehjistani

私は今起こっている出来事の真の中心たる存在を推測した。しかし、それを認めるには勇気が必要であった。だが、否定した所で意味を成さない。私たちを悩ませている根源は、”恐怖の魔王”(Dark Lord of Terror)Diabloに他ならない。

Lazarusの邪悪な杖は私の疑惑を確信に変えた。彼がAlbrecht様を誘拐し、Diabloを太古の牢獄から解放した者であることは疑い得ない。彼が更なる裏切りを計画しているだろうか? 幸いなことに、私たちの英雄がLazarusの生をそう長いものとはしないだろう。

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6th day of Esunar,
1265 Anno Kehjistani

幼子が泣き叫び死す夢を視た。声は大聖堂の地下から響いて窓を粉々に砕き割った。眼が覚めると、それは夢ではなくDiabloによって拷問にかけられ実際に死した者の悲鳴であることを悟った。あの叫びを聞いた後、再び眠りに落ちることは到底できなかった。私は外に出て、戦士の帰りを待ちわびた。やがて戦士は自らの血と打ち倒した敵の血に塗れて戻って来た。戦士が生きて帰り、そして恐るべき出来事が最早過去のものとなったことに安堵した。しかし、私の心にはひとつの影がさしている。私が遺され受け継いだものを軽く扱ったりしなければ、この悲劇自体避けられた筈ではなかったのか? と。

†††  †††  †††

18th Day of Esunar,
1265 Anno Kehjistani

私は今までTristramがこのように喜びで満ちているのを見た事が無かった。私が誇りを持って”友”と呼ぶべき英雄は、街の静かな場所に佇みこれらの祝典に参加することを謙虚に断った。私は大聖堂の地下で受けた傷跡は、皮膚に受けた傷よりもその下にこそ深く存在して彼を変えてしまったのではないかと考えた。私は彼に助言を与えたが、彼は耳を貸そうとはしなかった。おそらく、時間のみが彼を救う唯一のものであるのかも知れない。

†††  †††  †††

20th Day of Esunar,
1265 Anno Kehjistani

私には何も視えていなかったというのだろうか? 私は友人の鬱屈が、あの恐怖の出来事に対する自然な反応であると考えていたのだ。まさか、どうすれば彼が自身の内にDiabloを、その存在を秘めている見極めることができたというのだろう? ”恐怖の支配者”(the Lord of Terror)に対する勝利の後、彼は度々悲鳴を上げては目覚めていた。何週間か後に、彼は夜の闇へと姿を消した。おそらく、彼は東方へと向かったのだろう。

彼が去ってからすぐに、邪悪なる悪魔の大群が街を攻めて来た。悪魔たちは女も、子供も、あらゆるものに平等に容赦なく振舞い、墓所に平穏に眠ることすら許されなかった。死んだ者たちは安息を奪われ、不死なる存在として蘇ったのだ。彼がDiabloとの戦いの間、友と呼んでいた誠実な鍛冶師Griswoldは、人間の肉を嗜好する悪魔じみた獣へと変貌させられ、おおよそ人間として考えられる最悪の運命をたどった。

これは単なる狂気以上のものであろう。”恐怖の支配者”による憑依以外の何者でもない。この愚かな私は、彼がDiabloの悪徳を抑えることができると考えていたのだ。だがその過信は余りに大きな対価を払うこととなった。

私は煉獄と絶叫の狭間に囚われ、終末の時を座して待ち続けている。

†††  †††  †††

2nd Day of Kathon,
1266 Anno Kehjistani

最早希望を捨て、避けられぬ運命を待ち受けるより他無いと考えていたにも関わらず、その不可能な出来事が起きた。私は囚われの身から救われたのだ。この新たな英雄は、私が”知られざる放浪者”(the Dark Wonderer)と呼ぶ者が引き起こした邪悪と戦うためにKhandurasへと訪れたというのだ。彼は以前にある仕事を受けたが、東方への道は邪悪な女性型悪魔Andarielによって封鎖され、打ち倒さねば行けないとのことだった。私の持つ古代の知識が彼の手助けになるかも知れないと考え、同行することを決意した。

†††  †††  †††

28th Day of Kathon,
1266 Anno Kehjistani

砂漠の旅が終わりLut Gholeinへとたどり着いたことで、私たちはやっと安堵することができた。口に出して誰かに話すことは無いが、Diabloに対する恐怖は私の中に確かに刻まれているのだ。夜になると、かつて起こった村人の大虐殺と地下で行われた邪悪なる行為の幻視が私の眼を覚ますのだ。私は再びそのようなことが起きないことを祈っている。けれども、私はこの悪夢からは逃れられないであろうことを判っているのだ。

かつての友人の所在を探すため町の人たちと会話を交わしたが、情報は少なかった。しかしそれでも手がかりは掴むことができ、Mariusという名の彼の仲間を見つけることができた。彼がどのような役回りとなるのか、それだけを考えている。

†††  †††  †††

11th Day of Solmoneth,
1266 Anno Kehjistani

私たちは間に合わなかった。私たちはTal Rashaの墓所に”知られざる放浪者”の痕跡を追ったものの、悪魔Durielと邂逅することとなった。そして、BaalのSoulstoneはそこには無かった。Baalが再び自由の身となった以上、彼の兄弟Mephistoを解放するためにTravincalへと向かったとしか考えられなかった。これは絶対に阻止せねばならない。

†††  †††  †††

1st Day of Montaht,
1266 Anno Kehjistani

本日、”恐怖の支配者”から私たちを救うために危険を冒した英雄に何が起こったかを知った。それは、Kurastの周囲に広がる密林で、”知られざる放浪者”の痕跡を発見したのだ。意思の強さと気高さを持つ英雄でさえも”恐怖の支配者”の影響下では、些細なものでしかないという事実に、私は悲しむより他なかった。私はかつて彼であった者のために涙し、そして憐憫を感じているにも関わらず、死と苦痛とを世界の至る場所へと振りまくに至った彼のその傲慢を呪うのだ。

Mephistoの復活は短時間に終わった。これも、私の仲間あってのことである。彼らは私の想像できないくらい恐るべきものを越えてMephistoを打ち倒し、Soulstoneを奪い返した。それと同時に、彼らは”放浪者”が最早人間性を失っており、心身ともにDiabloに支配されているという衝撃的な知らせを持ち帰った。幸いなことに、彼らはDiabloを故郷たる煉獄(Burning Hells)へと戻すことに成功していた。そして、Diabloの存在を終わらせるために煉獄へと向かうという。私に出来ることは、彼らのために祈ることだけである。

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4th Day of Ostara,
1266 Anno Kehjistani

Diabloは倒された。私は長い間この知らせを聞くことだけを望み続けていたにも関わらず、心は喜びを感じなかった。Arreatに悪魔の軍が進軍をしたとの知らせがあったのだ。背後にはBaalがいるのだろう。私たちは潮が引くように北へと向かった。

MephistoとDiabloのSoulstoneはHellforgeにて破壊され、最早私たちを煩わせることはないだろう。後、残るはただひとつ。

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2nd Day of Vasan,
1266 Anno Kehjistani

北の寒さは老骨にはこたえる。Baalの軍は全ての道が合流するHarrogathから山を越えて支配圏を維持している。気高さ、力、献身といった仲間たちの行為は、受けるたびに私に新鮮な驚きを与えてくれる。彼らはBaalへとたどり着くために悪魔と雪とに立ち向かっている。裏切りの噂が街に広がっている。今度こそ、私たちは間に合わねばならない。

†††  †††  †††

10th Day of Vasan,
1266 Anno Kehjistani

私たちは呪われているのだろうか。勝利の瞬間にさえ、敗北と向き合わねばならないとは。英雄たちがBaalを倒したにも関わらず、天使Tyraelが最悪の知らせを届けたのだ。Worldstoneと呼ばれる偉大なる力を秘めた石が山頂に秘密裏に置かれ、そしてそれはBaalによって既に穢されていた。Tyraelは、唯一の選択肢がそれを破壊することだけであると考えていた。私はこのWorldstoneについて、如何なる力を秘め如何なる結果が生じるのか僅かしか知りえていない。そして、私たちの行動が結果として知られざる傷跡を世界に残すかも知れないということを私は心配している。私はただ、Tyraelの選択が正しいものであることを祈るばかりである。

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