■Journal of Al`Kabor


■Entry 1.

 私がこれらの記録を書いた時から、しばらく時が過ぎている。しかしながら、最近の調査結果から最も重要性の高い調査のメモを作っておくことにした。さて、どこから始めるべきであろうか……。

 数ヶ月前に、私はFiriona Vieとその仲間たちと一緒にKunark大陸へと旅した。彼女が奪われた記憶を取り戻すためにthe Ring of Scaleに逢おうと大陸へと旅することを話した時、私は他の者たちと一緒に同行を申し出ることに対して躊躇いを感じたことを認めなければならないだろう。the Ring of Scaleは強大な力と影響力を持っている。私は不安を抱えていたが、結局彼女らと同行することを決めた。もしthe Ring of Scaleが私が持っている偉大なる力の記憶を消したのならば、私がその時の力を取り戻すことは非常に重大事であろうから。

 Kunarkに辿り着いた時、Danak Dhorentathという名のIksarのShamanが、Firionaを手助けするための特別なポータルの提供を申し出た。数瞬の間に、蛇を思わせる迅速さでDanak DhorentathはFirionaを掴むと、彼女の驚きを意に介さずポータルの中へと彼女を引っ張った。そのポータルが消滅すると、後にはオゾンの匂いと空気以外のなにも存在していなかった。

 Firiona Vieが誘拐されてより後、私はIksarの調査を行い、そして彼女の所在の手がかりを求めるためKunark大陸に残った。大陸は、かつては偉大であったものの残骸、即ちSebilisan帝国の建築物が最早完全に単なる記念碑として大陸中に残っていた。

 the Burning Woodsとして知られている森を抜けて探検をしていると、山腹を越えた場所に都市があることに気づいた。後に知ったことであったが、これはChardokと呼ばれるSarnakの都市であった。そこは非常に危険であったが、私はそこに住む者たちの史料の図書館を発見するために密かに滞在し、トンネルと穴とを通って進路確保した。私がこれまでに見出した少々の資料や数冊の大冊から判断する所、SarnakはIksarの魔法的な力を研究しているようであった。

 更に調査を行うと、魔法的な封をされたユニークな外観の大冊を発見した。これら古代の大冊の表紙には、Combine Empireのシンボルが刻まれていた。大冊は少なくとも二、三百年もの間一度として開かれていないようであった。私は更にこの大冊の調査を進めるため、Erudinにある私の研究所へと戻った。

 研究所に戻ってから、表紙のシンボルの幾つかを判読した。一連の句を繰り返し、そしてCancel MagicのSpellを大冊に使用することによって、私はこれらを開封することに成功したのだ。だがまた幾つか開封できないものがある。

 それら古代の大冊は多種の異なった言語によって記述されており、驚くべきことにこれらの大冊の幾つかは私にすら判読できない言語で書かれていた。大冊の全体を通して幾つかの異なったスケッチ──シンボルや生物、Combine Empireの地図や図表──がある。

 私がこれまで大冊に付いて理解したことからすると、開放されるのを待っている未知の魔法的な力が存在するように思われた。これらの力の鍵となる魔法の巻き物が、Norrathの何処かに隠されているという。惑星の地下に、現在荒廃状態で隠された過去の都市が多数ある。大冊の一冊が、私をthe City of Mistとthe Crypt of Dalnirへと導いた。他の者の手助けもあって、研究所へと少数の巻き物を持って帰ってくることができた。

 それらが一体どのような魔法的な力を保持しているのかを知るためには、もっと私自身が書かれた言語に対する造詣を深めねばならない。この研究を進めるためには、もっと多くの書物を見出すために、知られざる場所を探求することが急務として必要であった。

 二ヶ月前、私の研究のアシスタントSorko Talvazonが古代の都市Karsoraの遺跡で多くの古書と巻き物を保管した古代の図書館を見出した。彼が手近な書物を手に取ろうとすると、そこに住む幽霊たちは彼を殺そうとした。彼は生き延びるため必死でGateし、その情報が研究の手助けになるであろうと、彼の導師である私へと伝えた。

 Sorkoは大抵は無能であるが、この都市への地図を作成した。彼が他の手助けとなる者たちを集め、我々はthe Overthereに集まった。時間を節約するため、集まった強者たちにPotion of the Field of Boneを与えた。これは服飲すると、Kaesoraの入り口へとテレポートする品である。

 一旦都市に入ると、Sorko Talvazonは多くのUndeadのはびこる穴と曲がり角を通って我々を先導した。図書館の光景は、私を驚かすに足りた。高い柱は大理石模様の壁に沿って壮麗に建立されていた。その内部には多くの書物が収められていたが、大部分は読み難かった。けれども研究を続けるに当たって、それらの多くが有用であることは確かな事実であった。

 二階のバルコニーで私はCombine Empireのシンボルを持つ二冊の大冊を発見した。これらの大冊の内一冊をのぞいて全てには、数ヶ月前Chardokにて発見したものと同様に魔法的な封がなされていた。開かれた大冊のページをめくった時、研究所に置かれた大冊に認められたのと同様のもうひとつのシンボルに気づいた。私がそれを取り巻いている他のシンボルに関連して調査を行った所、それは魔法的な力によるテレポートの参考文献であることを発見した。これは熟達した魔法使いが対象者を煩わしい旅程を経ずして目標の場所へとテレポートすることが可能であるように思われた。私はすぐに大冊と他のものを持って研究所へと戻ってきた。

 私は研究を続けている……。


■Entry 2.

 Combine Empireは古代の魔法的な力を膨大な数見出していた。私がKunarkの建物で見出した大冊と草稿を読み通した結果、暗号化されたシンボルの多くを解読することに成功した。失われた都市Kaesoraに隠されていた古代の大冊は、他の多くの大冊を解読するための鍵を私に与えてくれたのだ。

 魔術の力によって、己自身は移動せずに目標の者を目的の場所へと送還ることができる。Sorko Talvazonと私とは異なる構成要素と様々な語義や呪文とを交えて実験を行った。我々は呪文の幾つかによって、このTranslocation効果を再現することに成功した。だが、まだ再現性を確保できない多くのことがある。大抵の場合、呪文の詠唱を始めると、なにかが呪文式から欠けているかのように、突如停止してしまう。

 これらの実験は継続しなくてはならないが、私はこれ以上時間を浪費している余裕はない。私自身の研究を進めなくてはならないのだ。私はSorko Talvazonに対して、以前にアシスタントを務めていたTerblyn Zelbusへと少数の実験的な呪文書を届けるよう依頼した。この愚昧なGnomeは、研究の助けとしては役立たないけれども、若輩の魔法使いたちに対して呪文書を売る程度には充分有能であるだろう。

 私は今の所最も安定して動作している呪文を書物としてTerblynへと送った──それは、North Karana、Greater Faydark、Toxxulia Forest、そしてDreadlandのCombine Empireの建築物に対するものである。若輩の魔法使いたちがTranslocateの最初の一群を使って実験を行っている間に、私とそのアシスタントは、他の読み物の幾つかを着実に解読することに取り組むべきであろう。

 私は偉大な知識を持ち、Norrathのあらゆる場所に存在する言語を読み話すことができるにも関わらず、これらの大冊の幾つかで使われている神秘的な言語を翻訳することができないでいる。

 大冊の内一冊を解読しようとしている最中、ページの片隅の若干のメモに気づいた。Combine言語で走り書きされたこの発見は、Translocationとは無関係のように思われた。不完全ながら、それは氷で覆われた国からある品によって力を供給する非常に強力なある呪文に言及していた。私はアシスタントにこの新たな情報を明らかにするつもりはない。

 私は研究を続ける……。


■Entry 3.

 驚くべき、なんと驚くべきことだろう……。

 Combine Empireの遺跡について現在知られている理論に対する反論となるものを、Combine Empireの古代の大冊のページの間に書かれたものから発見した。長い間、Combine EmpireがWizardのためにTeleportationを容易にする建造物を造ったと信じられていた。しかしながら、私はこれらの理論が正しくないことを証明する証拠を、古代の大冊から発見したのだ。

 その原稿の中で、Combine Empireの科学者がNorrathの各地にある四つの高い尖塔の一群を発見した旨のメモを書きつけていた。尖塔は説明がつかない魔法的なエネルギーを放射していた。何年もの大規模な研究と実験の結果、彼らは幾つかの場所にテレポートするためにこの力を使う方法を発見した。この力を完全に使用するために、彼らはこれらのモニュメントの一群の中央に、ピラミッド状の建築物を構築した。

 私が尖塔を調査するにつれ……いや……知識を求める者として、私はCombine Empireが行おうとしなかったものを創ることに対しては、信用をすることができない。the quadroliths(四尖塔)を見る所、甚大な量のパワーをそれらは内包している。暫く前に、私はDreadlandのポータルから若干の破片を採取するために、アシスタントのSorko Talvazonを送った。私はそれが可能であることを望んでいる。何故なら私はこの魔法的なエネルギーを更に調査しなくてはならない。

 最近、私は昔のアシスタントの一人、Terblyn ZelbusからSorko Talvazonに宛てられた手紙を途中で手にする機会があった。この手紙は配達人によって送られ、私の研究所に届けられた。つまり私はそれを見る権利を充分持っていたのだ。その中には、Gnomeが使ういつもの戯言の他に、もっと多くの情報を受け取り、そしてTyrblynが受け取ったものに対する代価を支払うためSorkoと逢うよう取り決めをしているようであった。それには私が今まで取り組んでいた新たな呪文も含まれていたのだ。私はSorkoがなんの呪文をこの小さな獣に対して送っていたのかを考えた。──私は新たな巻き物を送ることを認めていなかった。

 なんたることか! 何故私は常に無能で低能なやからに囲まれねばならないのだ? 全てを明らかにするために、私は研究所の捜査を行った。それによって、埃にまみれた古い棚の瓶の裏に、巻き物が隠されているのを発見した。それには、私とそのアシスタントが今まで取り組んでいた詳細な実験のリストが書かれていた。

 Sorkoと逢うために、私はKunarkへと予定された通りに旅を続け、そしてFiriona Vie居留地の近くの逢うことになっていた場所で、彼を待つことに決めた。彼が現れなかったため、私は私の仕事を手伝おうと望んでいる無階位のWizardたちから、Dreadlandでの仕事を手伝う相手を選んだ。その場所へと移動すると、Sorko Talvazonが全く罪が無い者のように、破片を集めているポータルから離れて跪いているのを見つけた。

 『莫迦者が!』 私は彼に言った。『私に見つからないとでも思ったのか?』 彼は私の前に立ち、そして私がなんの話をしているのかわからないと主張した。私は彼を黙らせると、Gnomeに呪文の巻き物とポータルフラグメントの処理を行う付与呪文のドキュメントを売ったことを知っている旨を伝えた。

 Sorko Talvazonは数年の間私のアシスタントを務めてくれた。彼が私の秘密の研究を手伝うことに関して、私は彼に信頼のなんたるかを何度も言った。何度も私を裏切ったらどうなるか、その結果について警告をした。彼が持っている魔法の技術の全ては、私の指導のもので得られたものだった。私の信用と信頼に対する裏切りが、彼の指先に神秘的な力を持つ価値がなかったのだと証明した。私の研究の秘密を保つために、私は彼から研究の全ての知識と数年間をかけて教えた全ての魔法について取り去らねばならないと知っていた。不幸にも、この恐るべき行為を私は以前にも行った。そして、裏切られたにも関わらず、私はこのようなことを再び行うのを待ち望んでいなかった。

 これは、目標を意識不明になるまで叩くその衝撃と魔法の無効化とによって、最終的に記憶の消去が達成されるかも知れない。完成された方法ではなかったが、過去に成功例を持っていた。研究を守るために、私は今まで助けてくれた若者を誤りへと導こうとしていた。私はSorkoに、最早アシスタントではなく研究所への出入りも禁止されたと知らせた。何故私が彼に対して慈悲深かったのか、私にもわからない。ただ、それは疑いなく私の多くの美徳のうちのひとつであろう。

 ポータルの破片を調べた後、私はそれらを研究所へと戻した。そのフラグメントにはポータルからの力が残っていた。しかしそのエネルギーが使用され増幅されるためには、それらに付与魔術を施す必要があった。フラグメントを haze panther bileとmushlett acidで創った溶剤とで覆った。巨大な熱量を加えた結果、それらは魔法を付与されたエネルギーソースとなった。

 付与されたフラグメントは、Dragon Portalに届くための充分な力は保持していなかった。けれどもAntonicaのより弱いポータルへと届かせるには充分なエネルギーを供給可能であった──the dark forest of Nektulos、the western half of the Commonlands、the western plains of Karana、the most northern portion of the Desert of Ro、the temple of Cazic-Thuleへと。

 盗まれた呪文の巻き物と付与処理のドキュメンテーションを元に、疑いなくTerblyn Zelbusは彼の小さな店で呪文とフラグメントとを売っているだろう。私は多分、彼を落胆させることもできるが、それよりももっと急ぐべきことがある。

 私は研究を続ける……。


■Entry 4.

 ついに、ついに我が研究は先へと進んだ! 人の一生が終わる程の間存在しつづけている鉱物と堆積鉱物になにかが発見できることを期待していた。これまでの数年間、私は鉱物の溶融性(fusibility)を研究していた。

■Part1:溶融性(fusibility)とはなんであるか? - What is Fusibility?
 元来、多くの鉱物はそれらが溶解するポイント──融点を持っている。融点を決定するためには、溶融性のテストを行わなくてはならない。魔法体系のマスターは、ああ、そう、即ち私は、勿論この工程を熟知している。制御された熱量や他の要素に鉱物をさらすと、それはゆっくりと液状に変化していく。これまでの数年に渡って私はこれらの溶融性のテストを行い、ユニークな反応を引き起こす鉱石のサンプルを集めることができた。

■Part 2:可溶性鉱石 - The Fusible Ores:
・可溶性珊瑚鉱石 - Fusible Coral Ore:
 かつて、Kedge崩壊に隠された秘密を解明しようとした時、私は彼の種族最後の生き残りであるPhinigel Autroposと対面したことがあった。彼と会話をし、そして私に対しての脅迫と警告を耐えている時、私は彼の領域の砂州の上にあった珊瑚のような鉱石に気づいた。私はこの魅力的な鉱物のサンプルを得ることに成功した。この鉱石は珊瑚礁殻ともうひとつの物質で構成されている。私はまだそれを定義していないが、Kedge Keepの水が凝縮している。

・可溶性土壌鉱石 - Fusible Earthen Ore:
 無能なGnomeが封印であるthe Hatchを破壊し、YaelとDartainを開放した時、the Plane of Underfootの鉱物が周囲に四散した。土の鉱石であるこのものは、Norrathに存在する最も硬い物質のひとつであり、the Holeに存在するthe Earthen GolemやElementalの源でもある。

・可溶性火成鉱石 - Fusible Igneous Ore:
 何ヶ月もの間、私はKunark大陸で研究をして過ごした。その間に、私はSkyfire Mountainsにおいて溶岩のユニークな形態を発見した。これらの山々には溶岩で満たされた休火山が存在している。私がFusible Igneous Oreを発見したのはこれらの火山のひとつであった。火山から出た溶岩が冷えると、それは硬い鉱物へと変わる。この鉱物はNorrathの中で最も熱い鉱物のひとつであり、そして溶かすためには非常に大きな熱量を必要とする。

・可溶性Velim鉱石 - Fusible Velium Ore:
 Dwarf Warrior、Thubr Axebringerは、大体において面倒な奴ではあるけれども、私がVelium鉱石のサンプルを得る手助けをしてくれた。彼はVeliousのthe Western Wastesで貴重なそれを発見した。Velium鉱石は、私がこれまで発見した中でも最もユニークな鉱石である。その成り立ちは、発見された場所の気温の低さに頼っている。場所が低温であればある程、それだけ鉱石はしっかりと凝縮されている可能性が高い。加えて言えば、一層凝縮された鉱石は、呪文研究において有用である可能性が高い。

■Part 3:実験 - The Experiments
 可溶性のCoral、Earthen、Igneous、Veliumの各鉱石に関して、私は研究と幾つかの実験を行った。Velium鉱石を他のみっつと混ぜることによって、非常に魔法的な化合物ができることを発見した。冷やされるとVeliumは化合物を拡張し、そして急速に硬化した。結果、特定の元素に対して抵抗する物質ができた。
 この新たにつくられた物質を利用するために、私は再び実験を行った、この時、私が今まで取り組んでいた幾つかの呪文を唱えた。冷える間に、王錫の型の中に急いで化合物を注いだ。冷えた可溶性の鉱石の混合物と呪文の詠唱とによって、私は全く独特な王錫のアーティファクトをつくることに成功した。偉大な力を持つWizardによって所持される──勿論私程ではなくとも──と、王錫の魔法的なエネルギーは、元素からの偉大なる守護を与えられて知性を拡大し、精神を満たす。言うまでもなく私は最も忠実なアシスタントにのみ、このように強力なアーティファクトを託すだけであろう。
 現在、Makil Rargonが溶融性の研究を続けるために信頼することのできる唯一のアシスタントである。私が肯定したので、彼に他の人たちに対してこの研究に関する調査結果を発表する権限を与えた。私はこの工程を再度行うことができる。

■Part 4:研究の続報 - The Follow-up Studies
 追加のVeliumのサンプルを集めるため、Veliousの氷で覆われた土地を探検していると、私はthe Great Divideへと辿りついた。そこで私はQuadrolith(四柱群)を発見した。奇妙なことに、中央のピラミッドが欠けていた。それは、Norrathの各地にある他のものと同様の力を発しているように思われなかった。Combine Empireはこれを発見しなかったのだろうか? それの中の力を探知することは不可能なのだろうか? 私は更にこの調査を行わなくてはならない。
 もうひとつの注目に値する発見が、Kunark大陸のCombine Empireを研究している間にあった。遺跡の中の秘密の区画に隠された、ミネラル鉱石の更にもうひとつのユニークな形態を発見した。私はこの鉱石に対して溶融性のテストを含めて様々なテストを行ったが、その特性を決定することができなかった。現在までに行った溶融性のテストでは、融解点まで達しなかった。この鉱石の実験を続け、どこからもたらされたものであるかを突き止めるために、Combine Empireの研究を続けなければならない。

 私は研究を続ける……。


■Entry 5.

 Karana南部のピラミッド状の建築物からのサンプルの採取は、Qeynosの筆頭行政長官Vegalys Keldraneから送られてきた使者によって中断させられた。彼のガードの一人が私に宛てられた封のされた手紙を彼に渡していたのだ。それを渡したジプシーは、それが非常に重要であると主張しているとガードがVegalysに話していた。言うまでもなく筆頭行政長官は致命的な伝染病に関しての責任を負っており、その調査を続けることが忙しく私に個人的なメッセージを届けることができなかった。

 私が手紙を調べる前に、使者がVegalys Keldraneの伝言を口頭で伝えた。Qeynosの学者がCombine Empireの私の研究に関してアシスタントを申し出ているとのことであった。
「どうやって彼らが私の研究の手助けをするというのだろう?」
 私は自問した。彼らは好き勝手に言うだろうが、だけれども、私は彼らの助けを必要としない。

 手紙は魔法的に封がなされていたが、ごく弱い破壊の呪文によって容易く破ることができた。手紙を開封した後、私は中の殴り書きの手紙を読もうと努めた。私が最初に考えたことは、判別しがたい戯言を除去することであった。しかしながら、法のPaladinが私に手紙を配達するための時間を割いてくれたことを鑑みて、私は苛立たしさにも関わらずそれを読み続けることにした。

 Tarevla Nimellinという名のジプシーの女性が、奇怪なことを書いていた。私が手紙から読み取れたことは、彼女はCombine Empireの末裔であると主張していた。更に彼女は、Empireが姿を消した時彼女の先祖は残された人の中にいたと主張した。Combine Empireがまた戻ってくるであろうと考え、彼女の先祖は既にできていた地域の共同体に加入しなかった。その代わりにキャンプを設立し、放浪の生活を送ることに決めたと云う。加えて、彼女はそれ以上の情報を持っており、それを物々交換することを望んでいるという。

 いうまでもなく、私はそれを価値があると思い込んでいる戯言だと考えた。私はジプシーの戯言を聞くことで、研究の時間を失うのを拒否した。その代わりに、私が実験を続ける間にこのジプシーの女性を見つけ出すため使者を送った。使者には私に雇われていることの証明として、私のルーンを身に付けさせた。

 使者がTarevlaと話をすると、彼女はCombine Empireの魔法的な遺物と記録を収めた箱を持っていると知らせた。彼女は代価を受け取るまで、その箱を手放さないとのことだった。彼女は使者に、Lorrk the Insaneという名前の者の話をした。このEvil Eyeは捕らえられ、Norrathの安全のために檻に入れられていた。暫く前に、East Karanaを越えて旅をする時、ジプシーのMagicianのひとりが偶然このEvil Eyeを召喚してしまった。ジプシーに対する身近な脅威であることから、彼女は使者がこの狂った生物を探し殺してエッセンスを持って来ることを頼んだ。

 Lorrk the Insaneを探し当て、使者とそれに同伴していた者たちは、彼に対して目的を尋ねた。使者はLorrkが真実狂っていると報告してくれた。実際、彼は狂ったように笑いつつ話をしたが、なんの意味をなしているようにも思われなかった。それを攻撃するべきかどうか悩んでいる間に、彼は使者たちに襲い掛かってきた。程なく、使者たちは彼を殺すより他ないことを悟った。使者たちは彼のエッセンスをTarevlaに渡し、手紙の封と同じく弱いEnchantmentで封をなされた箱を取り出すと、使者に渡した。使者は箱を私の元に持って帰って来た。

 ひとめ見て、私は箱の頂上にあるCombine Empireのシンボルに気づいた。私はそれを受け取ると、すぐに調べ始めた。私が封を壊すと箱は開き、中に収められたものに驚いた。それは多数のCombine Empireの古代の大冊であり、カバーにはそのシンボルが掲げられていた。私はそれの真贋を見極めるため読み通した後、彼らジプシーの称した主張が本当であることがわかった。ジプシーがこれらの記録が含んでいる知識をもっていなかったことは、明らかであるように思える。何故なら、もし彼らがこの内容を知っていたとしたなら、それ程容易にこれらを引き渡したりはしなかったろう。或いは、もしかしたら私にこれらを渡す隠された動機があるのかも知れない。

 さらにそれらを研究するため最近の研究結果を研究所へと持ち帰ると、私は更に多くを判読することが可能となった。記録の中の暗号化は、以前私の発見した大冊で判読可能になったものよりもっと多くを判読可能にしてくれた。なんという素晴らしい掘り出し物であることか! これらの原稿は、Combine Empire消失のその時まで使用されていたもののように思える。

 Combine Empireに関する私の研究は、私が長い間追い求めてきた疑問──何がCombine Empireに起こったのか?──の答えに接近しつつある。

明らかに私が最初仮定していたよりも遥かに多く、Norrathの住民たちはCombine Empireの消失を知っているかもしれない。

 私は研究を続ける……。


■Entry 6.

 幾つかのテストをQuadrolithsに行った後、私の実験は結果的に成功していることを確認した。Portal Fragmentsの小片を用いてTranslocationの実験を行うと、正確な呪文詠唱がVeliousのDragon Circleに対してTranslocateを行うことを発見した。残念なことに、この発見をした時私は一人ではなかった。この私の発見の知らせは、迅速に広まることだろう。

 私は魔法を生業とするものたちに、このような有用な研究を思いとどまらせることを望んでいない。そのためにも、この研究において細心の注意が必要であると助言しなくてはならないと感じている。Portal Fragmentの使用法に関連して特定の危険性がある。破片はQuadrolithsから離れて何年もの使用に耐えられるものではない。私は他の手段によって、パワーを抽出する方法を発展させようと試みている。

 愚かなジプシーの女性が私にもたらした魔法の箱の中にあった記録を元にして、以前に得ていた古代の大冊の一部にあったユニークな言語を読解することが可能となった。この言語はCombine Empireのものではなかったようだが、幾分類似しているようにも見える。

 Combine Empireが記録に詳述した実験の科学図や地図、それらの記号を判読して、私はCombine Empireについて非常に興味深いことを発見した。Combine Empireは単に自らが消滅するであろうことを知っていただけではなく、それを予期して既に計画を立てていた。

 実験や儀式の記録を、それ程科学的知識を持たない者たちが参照することを考え、独自のパワーの使用方法の他に記録を草案として詳細に記述していた。私はKunarkのBurning Woodsで発見した真っ赤な鉱石の塊を思い出した。これらの実験のひとつを再現する為、それらの中のパワーの使用を試みることに決めた。

 私はすぐさまVeliousのWestern WastesでFusibilityに関する研究を続けていた最も信頼できるアシスタント、Makil Rargonへと研究所にあるKunarkの遺跡から得た巻き物のひとつと魔法の杖を持ってくるようメッセージを送った。彼は自分のFusibilityの研究を中断させることを望まず、肝心の品々の配達は信頼できる有能な者に託して送ってくれた。

 品々を受け取ると、実験の準備は完了した。私は私自身に対して実験を行うことなど勿論のことながらできる筈もなかった。その代わりに、アシスタントから送られたその使者をテスト対象として選んだ。Portal Fragmentと共に鉱石の能力を含んだ私のルーンを被験者に与えた。それらは追加のパワーソースとして用いられるだろう。

 一連の強大かつ疲労の激しい呪文によって、真っ赤な鉱石のパワーは私のルーンの中へと移された。小さなポータルが開き始めた。しかしながら、それはまだ調査するのに充分長い間開いたままではなかった。不幸にも、鉱石の中のパワーは生ある者が抵抗することができるよりも強かった……。被験者は、司祭によって"復活"の呪文を受けて退散した。

 ポータルが閉じたままの状態であったとしても、私はこの実験が失敗であるとは思わない。Combine Empireの古代の大冊で詳細に記されたもうひとつの実験に関して、この結果を参考にすることを計画している。

 私は研究を続ける……。


■Entry 7.

 KunarkのBurning Woodsにて赤い鉱石のパワーを使用しての実験を行った後、私は古代の大冊の図表を調査するため、Erudinにある研究所へと戻った。これまでのテスト結果を元にして、今までの他の実験に修正を加えることが可能であるだろう。

 私は最近気づいたのだが、調査を行った地域の幾つかに気づかぬまま研究メモを置き残してしまった。だが、それはさして重要なことではない。何年もの間、私は自らが作り出した呪文の有用性を理解できぬ者たちに囲まれていた。故に、不適切な野蛮人どもがCombine Empireに関する私の研究の膨大さに気づくのにを期待することなどあるだろうか? Combine Empireの記録は私の書いたものとは異なり、理解するのに純粋な科学的な知識を必要としないのだが。

 Combine Empireは、QuadrolithsがそれからNorrathの全ての場所の他のパワー源へとパワーを放射することに、非常に興味を抱いているようであった。彼らはこれら古代の物体から、パワーを吸い上げようと数々の実験を行った。しかし、彼らはそのパワーを吸い上げることが不可能であると悟ると、構造物の内部でそれを使用する方法を模索し始めた。

 古代の大冊での図は、殆ど型通りの科学的な実験が行われているのが描写されていた。そのような実験のひとつが、Quadrolithの中心で行われた。構造物を取り巻いている他の者たちからの付与呪文がQuadrolithのパワーを増幅している間に、一連の呪文がテスト対象者に向けて詠唱された。

 呪文と儀式の適切な順序を決定するためにも、私は実験を行う必要があった。私が過去に携わったどんな実験よりも巨大なものであり、これらの実験は致命的なものにすらなりかねないとわかった。この儀式における失敗は、私自身とアシスタントの者たちだけでなく、Norrathをも危険に晒すだろう。

 私がKunarkのDreadlandsにあるCombineの幽霊都市でこの実験を行う準備をしていると、Gnomeの最も厄介な者が近づいてきていることを耳に留めた。下らぬことを口にするこのGnomeは、実験を手伝うと申し出た。普段はOgnit Eznertobの援助を断るのだが、この実験においては彼を『使用』できるかもしれないと考えた。

 テストの準備として、Gnomeの手首に腕輪をはめた。それから、私はGnomeにすぐに帰還を試みるべきであると説明を行った。もし何らかの理由で彼がDreadlandsにGateすることができなかったのならば、腕輪に付与された魔法のキーを起動することで、戻ってくることが可能であるだろう。

 聳え立つQuadrolithがパワーを放出している状態の時、私は古代の大冊から得た儀式とそれに合った幾つかの呪文をテストし始めた。Gnomeがピラミッド状の構造物に留まった時、青く輝く光芒がポータルを開き、その場所を囲んだ。ポータルは急速に閉じて、Gnomeは姿を消した。実験は成功し、私はWizardが戻ってくるのを待った。

 彼は独力では戻らなかった。保護障壁をその場に配置すると私はGnomeを戻すため、腕輪のキーを起動するようアシスタントに指示を行った……。小さなGnomeのWizardは呆然としており、なにが起こったのかわかっていないようであった。私が彼に何を見たのか尋ねると、彼は暗い場所にQuadrolithが立っていたとこたえた。他に、誰かわからぬ者たちに囲まれたことも指摘した。私はこの愚かなGnomeが見たものを実際に見たわけではなかったが、信じないわけにはいかなかった。けれども、これはこの実験にとってさして重要なことではない。重要なのは、彼がポータルを通り生きて帰ったという事実である。

 私はこの実験の安全性が保証されたことで、自分自身を被験者として実験を行う準備をした。一連の呪文と儀式によって、Gnomeに対して行った実験を再現することが可能であった。ポータルは再び開き、私はそれに向かって踏み出した。ポータルを通ると、それは丁度完了され背後で閉じた。

 私はこれまで見たことのない場所のQuadrolithの中央にいた。私はこの記録を書き加え続けるであろう。しかし、暫くはこの地域を探索しなくてはならない。

 私は研究を続ける……。


■Entry 8.

 私がLuclin──Norrathの衛星のひとつであるその星に到着したのは、Nexusと呼ばれる場所の中であった。Nexusは人口密集地域の中央に位置しているようであった。Nexusに存在するQuadrolithからはどれ程のエネルギーが発散されているか観測することは不可能であったが、それらはNorrath上に存在する他のどれよりも強力であるように思えた。私は好きな時にこの場所に戻って来られるよう、NexusでBindを行った。

 私が調査した所、これまで見たことも無かった種を多数発見した。そして、幾つかは友好的ですらあった。私は都市を発見するまで更に多くの場所をさ迷った。Shadow Haven──この都市は、住民たちが言うように交易都市である。最も確かなこととして、この都市にいた間中記録を研究していたが、そのような科学的な好奇心を持つものたちは居住していなかった。いずれにせよ、私は調査を続けている。

 私がこれまで発見した者たちは、貿易商、露天商、それに泥棒と少数の乞食くらいのものであった。少数の商人は、私についてまわり商品を買うように頼み続けた──最も私をいらつかせる出来事であった!

 探検の最中に私はKerranの様な獣たちと出逢い、少なからず驚きを感じた。思うに、かつての昔、Odusのthe Holeが形成された時に異端者によって創られた破壊的な兵器によって、Norrathから剥ぎ取られた地域に住んでいた者たちの末裔であろう。このKerranたちは、自らをVah Shirと呼ぶ。彼らはNorrath上のそれらよりも文明的であり、科学的ですらあるように思われる。

 最初、Vah Shirは私との会話は気が進まないようであった。多分、彼らはかつて彼らの社会を破壊した異端者のひとりではないかと怖れたのであろう。にも関わらず、彼らは寛容であり礼儀を忘れなかった。

 私にはNorrathの住民たちにとって今後役立つであろう偉大なる魔法のシステムに関しての責任があるため、月に存在する素晴らしい心の持ち主たちの評価をまだ行う必要がある。

 Luclinに旅する前から、私はCombine EmpireがNorrathから姿を消す以前に辿った道筋──即ちLuclinの存在を知っていた。科学者たちはふたつのQuadrolithの象形文字を残していた。ひとつのQuadrolithが幾つかの図と一緒に記載され、そしてもうひとつの方は何処にも記録されていなかった。

 象形文字の周りに書かれた暗号を解読している時に、私はCombine Empireがその先の離れたQuadrolithを発見せず、けれども感覚的に分かっていたことを発見した。彼らは不可思議なQuadrolithがNorrathの衛星のひとつに存在すると感じ取っていたのだ。私はこの衛星の存在という記述そのものを非常に奇妙であると思ったが、言うまでもないように、私は研究を続けた。

 長い時間をかけてQuadrolithを研究した結果、私も同様に隠された存在を感じ始めていた。幾つかの実験が古代の記録に書かれており、私はこれらの実験の幾つかを再現することに成功した。そのうちのひとつがNexusへのテレポーテーションであった。

 しかしながら、愚かなGnome、Ognit EznertobのせいでLuclinにおける私の探検は望まざる中断をせざるを得なくなった。彼が私の置き忘れた研究メモから実験を再現しようと試みたのだ。

 彼はQuadrolithの中からパワーを引き出すことには成功したが、適切に実験を行うため必要とされることを明らかに理解していなかった。彼の失敗で、Norrathには一連の魔法的なエネルギー嵐のを引き起こされた。

 嵐の最初の段階では突風が引き起こされた。更に強力な第二段階は、空中に雷光が走り、稲妻がいたる土地に突き立った。Gnomeによる大破局の最終段階は、炎と熱せられた大気の突風雲──灼熱地獄に満たされた、魔法的なエネルギー嵐であった。

 彼の計画した愚かな実験は、それでも莫迦なGnomeによってNexusへの魔法のポータルを開くことには成功した。そして私の記録から得た呪文で、彼は私をNorrathへと強制送還したのだ。

 Dreadlandへとポータルを越えて旅程を完了するまでの間に、無謀なGnomeはポータルの開放に関して手伝いをしていた者たちに後を委ねると、その場から逃げ去っていた。忌々しいGnomeめ! 更にGnomeが彼を手助けした者たちに、私の魔法の水晶を分け与えていたことを発見した。残された者たちは、Gnomeが安全に私を連れ帰ろうと試みていたと強く主張した。だが、私は彼に助けを求めたことなどない。このような莫迦げたことを主張するのは、愚かなGnomeだけでよい。私の質問に対して、彼らはGnomeを探しているErudinのHigh Councilのことを口に出した。それはGnomeの過去を考えると、驚くには値しない。

 かつて一度、私はNorrathからGnomeの大失敗を取り除くことを強いられた。この魔法的な嵐を取り払うことが必要不可欠なのは、明白であった。私はGnomeを手助けした者たちに、無効化のためのエネルギーを向けるよう要求した。ひとりを中央に置き、他の三人を嵐へとエネルギーを送り込む実験者として用いた。私と同じくらい上手く、彼らはQuadrolithの尖塔ふたつの間に立った。

 ディスペルが開始され、そして成功した。魔法的な嵐はゆっくりと拡散し始めた。魔法の水晶と引き換えにして、そして魔法的な嵐を追い払う手助けをした報奨として、実験者たちがそれぞれPropylon of the Nexusの称号を受け取った。

 それ以来、私は軽い災難ではNorrathに戻らなかった。しかしながら、実験が他の者たちによって既に再現されたことは確かである。私がこれらの国を調査している時、私以外のNorrathianが現れ始めていることに気が付いた。彼らはGnomeと同じ態度で実験を行わなかったのだろう。

 彼らの到来の脅威は、それだけで重要なことである。NorrathとLuclinを移動しているそれらの汚濁どもは、大量の死をもたらすことができる。加えるに、Norrathのポータルは、最早余り長い期間エネルギーの吐き出しと、界を越えて行く圧力に耐えることができない。それらがどうなるかは、単に時間の問題にしか過ぎない。それがいつ起きるのか決定するには、まだ学ぶ必要があるだろう。

 私は研究を続ける……。