■The Chronic of Ogre

■Gromok Hergomの年代記 Vol.I - The Chronicle of Gromok Hergom Vol.I -

 私は恐れよりこの言葉を記す。高慢で力強いOgreは、長き渡る人生で見た出来事を忘れるであろうことを。

 これを記している現在、私はElder Gromokとして知られている。しかし、Warlord Murdunkの指揮の元の強力なRallosian Legionsでは、大した名声と地位のある軍人ではなかった。私は仲間のOgreたちのように、Elderになるために訓練を受けていなかった。私の訓練は軍人としてのものであり、私は戦のやり方だけを心配していた。

 不本意ながら、今私はElderの地位にある。そしてその不本意の原因こそが、この物語を書き記すその理由である。Ogreの魔術師が、最初にthe Planes of Powerにポータルを開いた時、私はKrithgor要塞に配属されていた。計画は迅速に立てられ、そして命令が全Tunariaの隅々にいる兵士と私たちのいる要塞へと送られてきた。Ogre、Giant、Orc、そしてGoblinたちによって編成された侵略軍が、新たに開かれた"界"へのポータルの場所へと集合した。その時私に下された命令は失望そのままで、Krithgor要塞に残留しろというものであった。侵略が失敗したことを知った時、私の失望は迅速に怒りに変わった。Warlord Murdunkは生き残っていたものの、私たちの被害は甚大であった。

 二度目の侵略が計画されているとの噂がKrithgor要塞に届いた。二回目の侵略計画の噂は、虐殺の野の上空を旋回する腹を空かせたハゲワシのように旋回した。それは、Rallos Zek御身それ自身が率い、その横にはWarlord Murdunkを始めとする高名なGiant、Orc、Goblinが控えているとさえ云われていた。私への命令は、再度Rallosian帝国の家先で、女性、子供、老人たちを庇護するために残留することであった。

 Rallosian帝国の侵略部隊の大群が、the Planes of Powerへのポータルをくぐってより間もなく、私たちのいた場所も栄光と虐殺の場となった。Warlord、Rallos Zekに敵対する神々の使徒たる定命の者たちが、TunariaにあるRallosian帝国の要塞と市民を攻撃し始めたのだ。私たちの敵は勇敢に戦った。そして、結果として生じた戦いは、私が今までに見た中で最も輝かしいものであった。

 私の武器や鎧冑は敵の血にまみれ、私たちの市民である子供や老人たちは、私たちという突き破れぬ要塞の中で安全なままにあった。Krithgor要塞を通り過ぎた使者が、Rallos Zek、Warlord Murdunk、そして二将軍Tallon、Vallonに率いられた軍団の勝利を告げた。更に、the Plane of Earthの十二人の支配者であるthe Rathe Councilは捕えられてNorrathへと連行され、Murdunkと将軍たちによって処刑された。神々が倒れた場所から地面が破裂した。そして倒れた神々の死の涙が新たに隆起した連峰の間に冷たく深い湖を作り出した。


■Gromok Hergomの年代記 Vol.II - The Chronicle of Gromok Hergom Vol.II -

 勝利の絶頂期においてそれは起こった。それが恐るべき神に責任があるのかどうか、私は知らない。同様に、一体どのような古代の魔法がRallosian帝国における私たちの仲間たちに解き放たれたのかも。

 私はただ、他の生存者によって『呪詛(the Curse)』としてだけ話されるものと、私自身が目撃したものだけを知っている。

 "界"へのポータルが閉じた時、私が呪詛について最初に見た兆候は、Ogreの魔術師の叫び声であった。そこに肉体があったという証拠であるかのような灰だけが残され焼き尽くされた魔術師の絶叫であった。Krithgor要塞において、魔術師の崩壊を目撃してから間もなく後、疲弊した軍隊が要塞の門へとたどり着いた。軍人たちは、RatheがMurdunkを呪い、処刑が行われた場所で崖から落ちてMurdunkが不名誉な戦死を遂げたと忌々しげに告げた。更に彼らは、Murdunkを含む多くの偉大なるOgreの戦争の指導者であり戦略家であり戦術家である二将軍TallonとVallon、それにWarlord、Rallos Zekの消失について話した。この疲れきった軍隊の軍人たちは、私たちの上役によって、以前の任務から外されKrithgor要塞に配属された。私を含む新たな軍隊が、要塞に配属されていた者たちから編成された。私たちは、与えられた任務を行うために向かった。

 私たちの軍隊は様々な要塞と戦場とを移り、その日々は非常に早く過ぎていった。現在に至るまで、それぞれの場所で私の見せられた光景は、現実のものとは思えない。偉大なる軍の指導者と魔術師は、死ぬか何処かへと消えるかして、そのため私たちの要塞は陥落し始めた。Giantは同様に魔術師を失ったため、荒野の果てへと退いた。Orcたちは、Rallosian帝国の戦争における戦利品のことでお互いに争い、そのため小さな一族へと分かれて貪欲さと殺戮の欲求とにとりつかれた。Goblinたちは、暗がりとTunariaの未開地域の洞窟で、狂気に震え上がった。何ヶ月もの後、訪れた要塞の多くが瓦礫と化すのを見出して、私たちはKrithgor要塞へと戻った。如何なる者たちが要塞を破壊したのかはわからないが、その者たちは女子供であろうとも容赦しなかった。彼ら殺された者たちの証となるものは、かつて要塞であった瓦礫に撒き散らされてあった。私の誇りにかけて、この時こそがRallosian帝国が最早存在しないことを認めた時であった。


■Gromok Hergomの年代記 Vol.III - The Chronicle of Gromok Hergom Vol.III -

 任務の義務から解放され、私と私に同伴した軍人たちは、陥落していない要塞の捜索に出発した。私たちは旅し、そして数えられない週の間戦ったが、結局それぞれの目的地では、死と苦難とが出迎えたに過ぎなかった。かつての帝国の破壊された要塞には時折生存者がおり、崩壊した社会を再建する場所を捜す私たちに合流した。私たちがTunariaの各地を旅していると、Krithgor要塞から小さな一団として始まった旅は、難民たちの大きな移住集団となっていた。私たちは、Rallosian帝国の最も大きな要塞の残骸が近くに有るFeerott湿地帯に定住した。

 一握りの有能な戦士たちが、Ratheが処刑され、Murdunkが死んだその場所に生存者を捜すために西へと出発した。捜索隊の内、たった二人だけが生きて戻った。彼らは酷い惨劇について語った。かつてはOgreたちの同盟者であったGiantが問答無用で攻撃してくると言うのだ。それだけでなく、the Mountains of the Rathes Demiseの山と渓谷を守る恐ろしいひとつ目のGiantについても語った。そのため、私たちはFeerott湿地帯を新たな故郷とした。男たちは食物の狩猟に加え、女性と子供たちを湿地に住む獣から守る任務を引き受けた。女性は湿地帯で育つ僅かな作物を農作物として育てた。子供たちはなにもしなかった──これが、私たちの理性と感性にそらおそろしさを感じさせた。

 Rallosian帝国崩壊の生存者たちから生まれた子供たちは、明らかに恐ろしいほどに以前の世代の子供たちと異なっていた。Ogreの新たな世代は、多くの部分が無毛であった。女性だけは髪を伸ばすことができたが、それさえ薄くぼさぼさとしたものであった。子供の肌は薄い肌色で、疣があった。彼らは時折目が充血し、鼻水をたらして苦しんだ。そして彼らは時折絶え間なく涎を垂らした。それらはすぐに外見上の特徴となったが、しかしながら彼らの身体的な状態は未だ強靭であり頑健であることから、心配は少なかった。

 最も私たちを心配させたのは、彼らの心についてであった。


■Gromok Hergomの年代記 Vol.IV - The Chronicle of Gromok Hergom Vol.IV -

 Ogreの新たな世代は、仕事の最も底辺のもの以外の全てを学ぶ能力を僅かしか示さなかった。子供たちは書かれた言葉を理解せず、そして彼らの会話は、片言か奇妙な音声で意思を伝えた。私たちはこの新たな世代の最初の少数の子供たちに厳しくあたった。私たちはまだ完全にはなにが起きていたのかを理解していなかったのだ。彼らを危険な状況下に置くか、或いは彼ら自身が生き残ろうとするよう湿地帯に置き去りにしたりもした。時が過ぎ、私たちの居住地は、子供が覚え発音することができる言葉でもあるOggokと呼ぶようになった。幾人かが外見上成人となった時、恐るべき呪詛が私たちの上に降りかかっていたことに気づいた。生まれた全ての子供が新しい世代の身体的、精神的特長を示していた。

 Rallosian帝国の彼の日々は最早無い。

 オリーブ色の肌をした英雄的な戦士、敵の骨で飾られた不吉な岩、私たちの勝利を保証する才知に長けた熱心な戦略家や戦術家、或いは神々それら自身の領域へのポータルを開くことができる荒々しい魔術の使い手たちは、最早存在しない。

 私は年老いた。私は私の民にとってのElderである。何故なら、呪詛以前の最後の者だからである。私は新たな世代のOgreの内で、最も才知に富んだ者の世話でこれらの言葉を書き残した。私は死後、Rallosの元へと行った後も、彼らが継続していくことを祈る。多分Warlordは、私の絶望の中の若干の希望すら捨て去るだろう。そして、何故彼の輝かしい帝国が滅んだのかについて、若干の答えを与えてくれるに違いない。

 ──Elder Gromok Hergom 元Rallosian Legionsの軍人