■暁の霧 - Mists of Dawn
 Origin of the Tauren, Cenarius and Elune Vol.I

 史記に記される以前の時代、高貴なるthe Earthmotherは暁光に照らされた金色の霧を大きく吸い込んだ。琥珀色をした雲が空にとどまっているそこの下には、小麦と大麦が果てなく広がっていた。これがthe Earthmotherの作り出した生命と希望に満ちた素晴らしい揺籠であった。

 the Earthmotherの目が創造した地に向けて光を放った。the Earthmotherの右眼、An'she(太陽)は温暖な気候と光とをその地に与えた。the Earthmotherの左眼、Mu'sha(月)は平穏と眠りの時間と夜明けとを与えた。更に片目を閉じると空は世界最初の夜明けとなる夜へと姿を変えた。

 右の目が暁の黄金の光を放ち、the Earthmotherの優しい手が金色の野へと伸ばされた。手の影が過ぎ去ると、肥沃な土地から高貴な民が発生した。Shu'halo(Tauren) は親愛なる母に感謝と祈りとを捧げるために産まれた。暁の果て無き平原で大地の子供たちは彼女に感謝を誓い、世界が闇に落ちるその時まで彼女の名を称えることを宣言した。



■the Earthmotherの悲しみ - Sorrow of the Earthmother
 Origin of the Tauren, Cenarius and Elune Vol.II

 大地の子供らが始まりの平原(the Field of Dawn)で放浪しはじめると、その地下深くから闇の囁きが彼らの耳へと届いた。囁きは虚偽と戦争の手段についてを子供らに話した。その誘惑によって Shu'haloの多数の者たちが悪意と邪心とを受け入れた。草原を旅する無垢と純粋さがその仲間たちからは失われた。

 the Earthmotherはそんな子供たちの状況に心を痛め、それ以上彼らが美点を失うのを見守ることができなかった。the Earthmotherは深い悲しみから、自らの眼を抉り出した。抉り出された眼──An'sheとMu'shaは星空の天球を回り始めた。the Earthmotherの悲しみを和らげようとしてAn'sheとMu'shaにできることは、ただ互いの光を追いあうことだけだった。双子は世界を中心にお互いを追い始めた。

 盲しいたthe Earthmotherは、程なくして外界へと意識を向けた。風は彼女の耳であり、始まりの平原で起こった出来事全てに耳を傾けた。the Earthmotherの寛大な心は残った子供たちに受け継がれており、彼女の愛する賢明さもまた彼らと共にあった。



■白き牡鹿と月 - The White Stag and the Moon
 Origin of the Tauren, Cenarius and Elune Vol.III

 the Earthmotherは狩りにおける子供たちの勇敢さを愛しく思っていた。何故なら、始まり時の最初の生物たちは、残忍であり獰猛であった。the Earthmotherの恩寵から離れたそれらの生物たちは、影や荒野の地に安らぎを見出していた。Shu'haloはこれらの獣を発見すると狩り、 the Earthmotherの祝福のもとに飼いならした。

 しかし、一体の強力な精霊はことごとく彼らの狩りの手から逃れていた。 Night ElfからはMalorneとして知られているApa'roは、雪のように白い毛皮をした誇り高い牡鹿だった。Apa'roの角は天頂を突き、力強い蹄は世界の深部を踏みつけた。Shu'haloは世界の片隅にApa'roを追い詰めると捕えるべく包囲した。

 Apa'roは逃げようと空へと跳んだ。確実に逃げられたと思ったが、その角に星が絡んだ。反動を付け暴れたにも関わらず、天から離れることができなかった。Mu'shaが夜明けに向かって兄たるAn'sheを追っていると、力強い牡鹿の暴れるその光景が目に入った。Mu'shaは牡鹿に恋した。

 賢明なる月は、 Apa'roと約束──彼が彼女を愛し、この孤独を終わらせてくれるのなら、彼を捕えた星から解放するであろう──を交わした。Mu'shaは Apa'roを愛し、その子供を身篭った。亜神(the Demigod)たるその子供は、夜に隠れた森で生まれたと云われる。Cenariusと呼ばれるであろうその子供は、天の王国と昼の世界の狭間、星明かりの道を歩んだ。



■森の主とDruidの始祖 - Forestlord and the first druids
 程なくして、その子供──Cenariusは、彼は星々と木々を兄弟として誇り高い父親と同じくらいに成長した。Cenariusは世界の各地を歩み暁の歌を歌い響かせた。月の女神と白き牡鹿の息子には一切の狡猾さなどなく、あらゆる者たちは彼の慈悲深さと優雅さの前に頭を垂れた。

 やがてCenariusはShu'Haloの味方となり、移ろい行く世界について語った。大地の子らはCenariusを兄弟と慕い、偉大なるthe Earthmotherに寵愛された生き物と生命の育成を手助けすることを誓った。Cenariusは大地の子らに木々や植物と会話する術を教えた。

 Shu'HaloはDruidとなり、土地の状態を良く保つために魔法を使用した。何世紀にも渡りShu'HaloはCenariusと共に過ごし、地下で蠢く陰なる存在から世界を守り続けた。



■Centaurの憎悪 - Hatred of the Centaur
 暁の霧が薄れ、"追憶の時代"(the Age of Memory)が過ぎ去ると、亜神Cenariusは再び世界へと旅立った。Shu'Halo(Tauren)はCenariusが去ったことに悲しんだが、やがて彼らの持っていたDruidの文化もまた忘れ去られて行った。

 世代を経るに連れ、大地の木々と野生とどのように会話するかすらも忘れ去られた。闇の囁きが再び彼らの耳へと届いた。the Earthmotherの子らはこの囁きを拒むことできたが、西方より黒い大地から殺戮者の大群──Centaurが襲来した。同胞喰いであり略奪者であるCentaurは、疫病の如くShu'Haloを襲った。

 勇敢な者や狩り手たちがthe Earthmotherの恩寵のもとに戦ったにも関わらず、Centaurを退けることは叶わなかった。Shu'Haloは祖先よりの地を後にせざるを得なくなり、いつの日にかShu'Haloの散り散りとなった氏族は、the Earthmotherの優しいかいなのもと新たな故郷を見出すであろうという希望を抱いて、遊牧の民族として果て無き平原をさまよった。