■Ahn'Qiraj
 伝説の断片よりQirajiとして知られる謎に満ちた魔法使いが創造者であるという事の他は、古代王国 Ahn'Quirajについては殆ど知られていない。Night Elfの物語には、QirajiによるSilithidのような昆虫の恐るべき種族への相互共感と奇妙な支配に関して沢山の逸話が存在している。今再び Qirajiが砂の壁に隔てられた彼の王国で蠢動し始めたことが明らかとなっている。Silithidはそれに呼応し、Kalimdorの南部に集合し始めた。もしもAhn'Qirajiの門が打ち破られたとしたら、どのような邪悪なものが解き放たれるのかを誰も知らない。

※Ahn'Qiraj の門(the Gates of Ahn'Quiraj)は強力なPCのQuestによって開けることができる。門が一度開かれると、そのサーバ上の誰もがAhn'Qirajへと挑戦することができるようになる。このエリアはRaid Areaであり、40人の最高レベルのプレイヤーを想定して調整される。広大な砂漠と地下に広がる巣状トンネルでは、様々な種類のものたちと遭遇することになる。



■Qiraji
 Geologist Laksbaneは語った。

『これは歴史なのだ……Silithusの歴史なのだ……Ahn'Quirajの……the Titanたちと古き神々の……Qirajiの預言者Skerranによって書かれたC'Thunの書を私は読んだ。激変の前兆となる預言を……。

 史に記される以前の時代、世界が未だ幼年期に在った時代、創造を絶する邪悪な存在とthe Titanとの戦いの影響が地上で荒れ狂った。この戦いにおいてthe Titanが完全な敗北を被ったかは定かではないが、the Titanが死んだことは明らかにされている。だが、古き神C'Thunもまた同じく死を迎えていたか──或いはそのような状態となった。

 永遠なる星明りの地Kalimdorは全ての生物にとって慈愛に満ちた母なる土地だった。the Well of Eternityの魔力は大地に満ち、世界に生まれる植物や動物達に活力を与えた。この魔力の流れ(Magical ether)からSilithidは生まれた。沈黙を守っていた古き神は、Silithidを使って再び無慈悲なその手を世界に伸ばそうとした。Old Godは自身の外観を真似てSilithidから己の化身(the Avatar)を多数作り上げた。この化身はQirajiとして知られている。何千年もの間、Quirajiは、信奉する神を裏切った世界を荒らし回る力を蓄えるため、一心に活動した。巨大な要塞都市Ahn'Qirajは拡大する兵力を収容し、更にはC'Thun降臨の準備をするために建築された。しかし、決してこの世界に古き神が踏み入ることは許されなかった。

 C'Thunが待ち望んだ時が迫っていた。彼の子たるQirajiと SilithidはKalimdor全土に報復のための軍備を幾千年にも渡って整えており、the Titanもまた既にこの世界から立ち去っていた。全ては彼の手に握られたも同然だった。ただ、かつてこの地に住んでいたNight Elfたちだけが守り手として残っていた。

 Rajaxxとして知られる強力なQirajiがSilithusへの最初の侵略を指揮したが、それを阻んだのは一人のNight Elfだった。Fandral Staghelmとして知られるNight Elfであり、Qirajiたちは彼らの言葉でKhar'sis──"大地の手(the Hand of Earth)"と呼んだ。Rajaxxの軍の果て無き奔流がSilithusへと流れ込んだのに対し、Staghelmとその軍隊は明らかに数的に不利だった。しかしStaghelmはQirajiにとって非常に厄介な存在となった。Staghelmの指揮下、Kalimdorを守るために召集された Night Elfの軍はQirajiの軍の侵攻を押し止めた。

 Night Elfたちは善戦したが、それでも防衛線を長期間維持することはできそうもなく、そしてRajaxxもまたそのことを知っていた。だが、最終的に勝てるとはいえ思うように行かぬ戦いは、Rajaxxに不満を抱かせていた。しかし、それ以上に不満を抱いていたのがQirajiの王だった。Ahn'Qiraj の双生皇帝(the Twin Emperors of Ahn'Qiraj)として知られるVek'nilashとVek'lorは寺院の聖域より戦いの様子を遠望していた。奸知に長けた兄弟皇帝は、 Staghelmの軍隊の士気を下げ、分断する作戦を計画した。誇り高く気高い戦士であり、頑固な父親に対する献身と敬愛に満ちたValstann Staghelmは、Fandralの片腕として軍で活躍していた。双生皇帝はValstannのその思いを利用することができると考えた。Qiraji の軍は一端引いて砂漠の地下に隠れるよう命じられた。同時にSouthwind Villageに対する小規模な攻撃と、Staghelmの居る前線での戦いが行われた。Valstannは父に認められることを渇望しており、小隊を率いてSouthwind Villageの防衛を任せてくれるようFandralに進言した。Qirajiたちは後退し、戦いの趨勢はNight Elfの側にあるように思われたため、Fandralには最愛の我が子に起こるべき運命を想像することができなかった。隠れていたQirajiにより Valstannの計画は失敗し、Southwind Villageは壊滅してValstannは捕縛された。RajaxxはValstannを前線に引き出し、StaghelmとNight Elfの軍の前で残酷な公開処刑を行った。それでも尚戦いは続いたが、偉大な指揮官であったFandralの意思は次第に挫かれた。程なくして、 SilithusはSilithidとその支配者であるQirajiの支配下となった。

 Night Elfの軍隊はUn'goroを越えてTanarisの砂漠の境界線まで撤退した。Un'goroもまたQirajiの支配下となる筈が、如何なる力によってかこの地を支配圏に加えることが阻止された。Un'goroという言葉を私は全く理解していないが、"神の地"という意味であると信じている。故に、Qirajiは"神の地を奪えなかった"という事になる。魅力的な推論として、Un'goroの存在は、TitanがKalimdorに存在した時に住居の場所であったとされる。おそらくAman'Thulそれ自身が"神の地"(the God Lands)を見守ってくれているのだろう。

 ──不思議にも、突然終わりとなっている。更なる断片があるのだろう。更に多くの情報が必要となろう。奴らは再びKalimdorの侵略を計画しているのだから』



■Quest:Lost Forgotten Memories
 あなたは強い悲しみがこの水晶を中心として存在しているのを感じた。それは非常に強力であり、悲しみのあまり死ぬかも知れないとすら感じられた。

 ──回想。

Anachronos the Ancient:我らは迅速に行動しなくてはならぬ。さもなくば全滅することとなろう。

Fandral Staghelm:我らの軍はQirajiの防御線を突破することができん。Dragonよ、あなたがたの偉大な障壁を設置するために充分に近づくことすらできないのだ。

 Merithra of the Dreamは同胞を一瞥した

Merithra of the Dream:方法はある……。

 Arygosは全て承知したように頷いた

Caelestrasz:いいか、Fandral、『悲しみではなく信念に従え』──この言葉を忘れるな。お前の気持ちは、お前を闇へと導くぞ、Night Elfよ。贖罪は目的を見失った復讐では果たすことはできぬ。

Merithra:Anachronos、誓って我らが奴等を後退させてやろう。それが成し得たら、躊躇うことなく我らの後背に運命を封ずる障壁を築き上げよ。

Merithra of the Dream:終わり無き夢に屈せよ、小さき者よ。それに汝を捧げるがよい!

Arygos:Anachronos、この陽動作戦はおぬしと若きDruidにthe Gateを封鎖するに充分な時間を作り出せるであろう。躊躇うな。混沌の魔術の使い方、とくと見よ。the Blude Dragonflightの怒りを知れ! Malygosよ、我を守護したまえ!(註:Blue DragonflightのトップであるMalygosは、the Titanから膨大な魔術の一部を得ており、Blue Dragonflightも当然のように魔術を得ている)

Caelestrasz:今日という日の犠牲を忘れてくれるな、Night Elfよ。全ての者がこれらによって苦しめられた。Alexstraszaは、我らに敵を退ける決意を与えて下さった!

Anachronos the Ancient:STAGHELM! 行くぞ! 魔術の準備をせよ!

Fandral Staghelm:わかった、指示を。


Anachronos the Ancient:近くに……ひとつの義務が残っている。Staghelmよ、我がここを去る前に、あなたにひとつ渡したいものがある。いずれ時満ちた時、この要塞に再び侵入しなくてはならないだろう。その時は、the Scepter of Shifting Sandsを聖なる銅鑼に使えばよい。障壁を維持する魔術は消え失せ、Ahn'Qirajの脅威は再び世界に戻るだろう。

 Anachronos the AncientはFandral Staghelmにthe Scepter of Shifting Sandsを手渡した

Fandral Staghelm:我らの同胞が見てそして感じたこの荒廃のその後に、更なる重荷を背負うことを期待するのか? Dragonよ。私はSlithusもQuirajもなにも、忌まわしいDragonでもなにも望んではいない!

 Fandral Staghelmはthe Scepter of the Shifting Sandsを粉々に砕き、障壁の中に投げ入れた

Anachronos the Ancient:Staghelm卿、何処へ行こうというのか? 己の誇りのために、我らの絆すらも砕こうというのか?

Fandral Staghelm:我が息子の魂は、このような空虚な勝利ではうかばれまい。私は息子を取り戻す。一千年を要しても、我が息子を返して貰おう!

 Anachronos the Ancientは失望にこうべを振った