■Manuscript of Lorgalis
 私たちの住む世界は重厚な歴史の積み重ねの上に存在している。新たな種族と、古の種族の紡いだ歴史のもとに。戦において死して久しきものと、未だ戦の種子を内に秘めたる者たちの歴史のもとに。天空より訪れし神々の歴史のもとに。

 そして大地に眠る古なる神々の歴史のもとに。

 古の神々について話そう。世界がまだ生まれて間もない頃、Azerothに住まいあらゆる場所でその者たちは猛威を振るっていた。古の神々は世界そのものの意思であった。嵐は古の神々の嘲笑であり、火災は古の神々の視線の強さにより生じた熱そのものであった。古の神々が歩めば大地は震え、割れた。より下位の存在は絶望から自身を引き裂き絶叫した。

 子供が戯れに火に触れたとて、火が子供に情けをかけないのと同様に、古の神々もまた下位の存在を気にかけることは無い。良く云って、私たちはその下僕であろうか。悪ければ、単なる玩具に過ぎない。

 古の神々は世界を力と恐怖で支配した最初の存在であった。古の神々は現在拘束され眠りについているが、その下僕たちは今だ世界に存在し、それらとすら卑小な私たちは相対することができない。それを試みた者がどうなったのか? 簡単なことだ──滅ぼされたのだ。だが、古の神々の下僕に跪き懇願し、快く己を贄として捧げられるものだけは、彼の存在の恩恵を受けることができるだろう。

 Princess of the Deep、Aku'Maiは古の神々に仕えるものである。彼女はBlackfathom Deepsに住まい、古よりの英知によってその洞窟に恵みをもたらしている。Aku'Maiは彼女を神の象徴と考えた定命の者によってthe Deepsへと導かれた。Aku'Maiはそれに従ってthe Deepsへと顕現したが、古の神々の力と残酷さの殆どが失われた。だが、にもかかわらずAku'Maiの力は想像の範疇を越えている。

 それ故に、彼女は崇拝され、畏怖され、敬愛されるのだ。

 ──Lorgalis