Rise of the Lich King


■Chapter.1 - Ner'zhulの呪詛 - THE CURSE of NER'ZHUL

老齢のShaman Ner'Zhulは、かつてOrc種族の尤も偉大な霊的指導者として尊敬されていた。しかしながらNer'Zhulは、Demon Kil'jaedenに欺かれてOrc種族を悪の道へと誘い血に飢えたHordeを生み出す発端を作り出した。にも関わらず、最終的にNer'ZhulはBurning LegionのDemonの尖兵になることを拒否した。

Demon Lord Kil'jaedenは、Ner'zhulの反抗に対する罰として、彼の老いた肉体を破壊してその魂を拷問にかけた。その後で、Kil'jaedenはNer'zhulに最後の選択を提案した。それは、無条件にLegionに仕えるか、永遠の苦しみを受け続けるかの何れかであった。選択の余地などなく、Ner'zhulはKil'jaedenに服従することを誓い、Legionの強力な使徒Lich Kingとして蘇った。

Ner'zhulの霊体は魔術によって古代の鎧兜のひとそろいによって拘束され、強力なRuneblade Frostmourneによって束縛された。Ner'zhulが裏切ることが無いよう、Kil'jaedenはTwisting Netherの遠方各地より集められた氷塊に特別な細工をすると、その中にNer'zhulの鎧兜と刃とを封じ込んだ。この凍てついた結晶は、怪しまれぬようAzeroth世界の雪に覆われた荒地であるNorthrendへと落とされた。

Lich Kingに与えられた能力のひとつとして、死せる者に対する支配力があった。"凍てついた玉座"(Frozen Throne)の中からNer'zhulはUndeadを召還して軍を編成すると、Azjol-Nerub王国のNerubianとその支配者である強力な蜘蛛王Anub'arakに対して挑戦した。"蜘蛛戦争"(War of the Spider)は何年にも渡って続いたが、その中で戦い死したNerubianがLich Kingの強力な意思によって支配された。Anub'arakは奇襲によって殺され、Ner'zhulによって畏怖すべきCrypt Lordとして蘇った。

Lich Kingの行動は表面上主たるKil'jaedenに対して誠実に行動しているように見えたが、実際には狡猾で破壊的な計画を企てていた。その仕上げとして、Ner'zhulは氷の牢獄に亀裂を生み出すとFrostmourneを外に出し、配下にそれを"凍てついた玉座"から運び去るように命じた。Ner'zhulはFrostmourneを自らの強力な第一の守護者──それは、Ner'zhulを氷の牢獄より解放し、肉体を持たぬ魂の苗床となるであろう忠実な下僕──を見つけるための餌として用いるつもりであった。Frostmourneが未来の目的を果たすべく安置されている間、Lich Kingは主の意思に従うままの行動をとり続けた……。

Azerothへと落とされてからこれまでの間に、Lich Kingは人類の全滅とBurning Legionの忠実な軍団の一員を創ることを意図した潜伏性の伝染病を生み出していた。この伝染病を蔓延させるために、Lich KingはDalaranを支配する評議会の上級メンバーであり、意欲的なMageであるKel'Thuzadを配下とした。

Lich Kingの完全なる監視下のもと、Kel'ThuzadはAzerothに平等と永遠の生命をもたらすことを目的としたCult of the Damnedを作り出した。信者たちはLordaeronの北方の村々に伝染病を広げ、心を持たぬUndeadが多数生み出された。Kel'Thuzadは増加の一途を辿る軍団をScourgeと命名した。それは、Lich Kingの意思の下に世界の地表から人類を一掃するであろう。


■Chapter.2 - Frostmourneを求めて - THE CLAIMING OF FROSTMOURNE

Archmage Antonidasは、Undead化の伝染病の源が魔法的なものに由来すると考えていた。このため、Antonidasは弟子の女性魔術師、Jaina ProudmooreをNorthlandへと使わした。その旅路には、Terenas王の息子であるArthas Menethil王子も同行した。JainaとArthasはLich Kingの下僕であるKel'Thuzadを追い詰めて殺すことに成功したが、にも関わらずScourgeの軍勢の勢いを止めることは出来なかった。Undeadとの戦いが長引くに連れて、Arthas王子の仲間への信頼は衰え、我慢には限界が見え始めた。

JainaとArthasのScourgeに対する旅路に高名なPaladinであるUther the Lightbringerも加わった。ArthasとJainaはStratholmeへと辿り着いたが、時既に遅く伝染病に犯された穀物は既に分配された後だった。Arthasは、何も知らぬ村人たちがやがてUndeadとなってScourgeの軍に加わるだろうと考え至った。そのため、Utherに街の住民がUndeadとなり、Scourgeの手先となる前に虐殺するよう命じた。Utherがこの命令を拒否すると、Arthasはこの熟練のPaladinを反逆罪と罵り、騎士団であるOrder of the Silver Handの解散を宣言した。Utherとその配下の騎士たちは、Arthasに失望して去っていった。Jainaもまた、Arthasの非情なまでの決断に恐怖を感じて彼のもとから立ち去った。

協力者たちがいなくなったにも関わらず、Arthasは意思を曲げることなく何も知らぬ年の住民たちに刃を向けた。そして建物を燃やしUndeadとなるであろう人々を滅ぼす計画を実行した。Arthasの中で何かが壊れたのは、この日であった。そしてStratholmeを後にしたArthasは、この廃墟に人間的ななにかの大部分を置き捨ててしまった。

この日以降、Arthas王子は如何なる犠牲を払ってでもScourgeを止めることだけに腐心した。そして程なくして、伝染病の根源がNorthrendに在ることを知り、断固たる決意のもとで世界の屋根たる雪と氷の大陸へと向かった。Northrendでは、Arthasは旧友のDwarf、Muradin Bronzeneardと偶然再会した。Muradinは伝説に詠われる力を持つ高名な剣を探していた。それは、Frostmourneと呼ばれる剣だった。ArthasはMuradinに同行し、この魔法の剣を探し出してScourgeに対する武器としようと考えた。しかし、Utherの言によってTerenas王はArthasとその配下の者たちに、国へと戻るよう使者を遣わせた。Arthasの部下たちはこの命令に従って帰還をしようとしており、Arthasはこれを止めるべく出港の準備が整う前に密かに船を燃やしてしまおうと考え、現地に傭兵を雇い入れた。傭兵たちを使って舟を破壊すると、Arthasは知らぬ振りを装って、帰還しようとしていた配下の兵たちに傭兵たちを殺すよう命じた。

Arthasは帰ることの出来なくなった配下の者たちに、のこされた手段は剣を探し出すことだけだと信じさせ、荒れ果てた大地を捜索した。MuradinとArthasは、遂に氷に包まれ台座に突き立てられたFrostmourneを発見した。そしてその台座に刻まれた碑文を読んだ。碑文は『刃は肉を引き裂き、そして魂に傷跡を刻む』と書かれており、Frostmourneの刃を振るう者に永遠の力を与え、しかし代償が必要であることを警告していた。碑文の警告とMuradinの忠告にも関わらず、Arthasはどのような代価を支払おうとも剣を手にすると断言した。

Arthas王子の無謀とも思える行動の結果、Frostmourneを包む氷が砕けてその破片がMuradinの命を奪い、そして剣はArthasの手に握られた。この瞬間、僅かに残されていたArthasの人間的ななにかが完全に失われた。Arthas王子はこの剣の真の主がLich Kingだとは知らなかった。そして、FrostmourneがKil'jaedenによって与えられた魔法的な力のほかに、Ner'zhulによって与えられた力──生きている者の魂を盗み取る能力──を持っていたことを知らなかった。

Frostmourneを手にしたまま心の中で育つ邪心と共に、Arthasは新たな主の呼び声に答えるべく凍てついた大地をあてどなくさ迷い始めた……。


■Chapter.3 - 凍てついた玉座よりの解放 - SHATTERING THE FROZEN THRONE

NorthrendからArthas王子が勝ち誇った様子で帰還したことでLordaeronは歓喜に包まれていた。しかし、その歓声は長くは続かなかった。Arthasが父たるTerenas王の前に跪き、そして次の瞬間手にしたFrostmourneが王の心臓に突き刺さった。Lich Kingの命令のまま、邪悪に堕した王子はUther the Lightbringerもその手にかけるとKel'Thuzadの遺骸を奪い返した。Arthasが全てをなし終えた時、首都であった場所、かつては人類の輝ける宝石の如き都市のひとつは、死と絶望のみが支配する静寂な不毛の大地へと変貌した。

Death Knight ArthasはUndeadを率いてQuel'Thalasの森林地帯へと進軍した。首都Silvermoonへの門を越え、Elfたちを虐殺した。Kel'ThuzadをLichとして復活させるため、伝説に詠われるSunwellを用いた。後に残ったのは、破壊されたHigh Elfの国だけだった。

Kel'ThuzadはBurning Legionの強力なDemonlord Archimondeを世界へと導くための門を開いた。Archimondeは世界に顕現すると、Lich Kingは最早無用だと断じた。ArchimondeがLegionを率いて目的を達成しようとしている間に、ArthasはKalimdor大陸へと旅した。そこでArthasは強力なDemonhunterであるIllidan Stormrageに、Lich Kingと利害が一致することから助言を与えた。

第三次戦争はArchimondeが滅ぶことで終結した。Azerothに残ったLegionの軍隊は、Archimondeの死によって様々な場所へと散った。ArthasはLordaeronへと戻ったが、Lich Kingの力が弱まったことによる苦痛の幻視に襲われた。Death Knight ArthasはNorthrendへと旅し、そこでScourgeによるQuel'thalas侵略時の生き残りであるElfの軍隊と出逢った。Elfたちは"凍てついた玉座"へと進軍しつつあるIllidan Stormrageの軍の配下だった。その時、Lich Kingの下僕であるCrypt Lord Anub'arakによって、ArthasはLich KingのもとへとIllidanよりも先にたどり着けるであろう古代の洞窟へと導かれた。

Arthasは、既にDemonと化していたIllidan Stormrageが洞窟の先に立ちふさがっていることに気づいた。ArthasのFrostmourneとIllidanのTwin Blades of Azzinothがぶつかり合い、二人は一騎打ちを開始した。最終的に、Arthasが勝利した。Illidanは血まみれのまま、雪の中に沈むままにして置かれた。Arthasの頭の中で、これから彼が取ろうとしていることに対してかつての友人たちの声で警告が幾重にも響いた。しかし、Arthasは歩みを止めなかった。

"凍てついた玉座"への階段を登るArthasは、その時まだ自身の意思があったのか、或いはFrostmourneを手にして以降ArthasはLich Kingの操り人形でしかなかったのか。何れにせよ、Arthasが氷付けの鎧兜の前に立った時、ひとつの声がDeath Knightの心に響いた。『剣を返すのだ』 Lich Kingの命令だった。『定めを完遂せよ、牢獄より我を解放せよ!』 Arthasは吼えるとFrostmourneを振るい、"凍てついた玉座"を粉砕した。そして、Lich Kingの封じられた兜を身につけた。

Lich KingはArthasが歩んだ闇の道へと冒険者たちを誘惑しようとしている。Froustmourneは勇者と愚者、双方の魂を渇望している。そしてNer'zhulの声はLich Kingの兜の中で響いている。

『我らは一人となった』