女王のカリスマ性は生来から驚嘆すべきものであり、更に魔法によってその魅力を増していた。囁きや一瞥だけで対象の感情を自由に操ることすらできた。そして、Azsharaにとって最も好ましかったのは、情熱と怒りであった。崇拝者たちはAzsharaによって起こされた嫉妬の感情に動かされるまま、つまらぬことで喧嘩をしては女王の名誉と名のもとに決闘を行った。Azshara女王はこの見世物を好み楽しみ、決闘を行った者たちを救おうとはしなかった。
Burning Legionによって捕虜となり宮殿に監禁されたTyrande WhisperwindとAzshara女王、Vashjが謁見した時、Vashjの心を満たしたのは独占欲から来る怒りであった。気まぐれなAzshara女王は、Tyrandeを自らの侍女に召し上げようと申し出たのだ。しかし、Tyrandeは自らはEluneに仕えると誓ったと云い、その申し出を退けた。社交辞令的なものであり程無く死すべき定めにあるとはいえ、Tyrandeのはっきりとした拒絶の言葉はAzsharaを苛立たせた。
Vashjはといえば、Azshara女王がTyrandeに申し出た言葉を忘れることはできず、それは苦痛の棘となった。VashjはTyrandeが女王の申し出を断ったにも関わらず、女王の歓心と好意に対するライバルであると考えたのだ。傍から見れば不合理な考えであったが、Vashjは行動をせねばならないと考えた。結局Tyrandeを暗殺しようとして失敗し、暗殺行為が発覚する前に牢獄から逃げ出した。
●呪詛と変貌 – Cursed and Transformed
古代の大陸Kalimdorは粉砕され、陸地の隙間には海水が流れ込んだ。Azshara、Vashjを始めとするHighbornの多くが海水に飲み込まれた。本来なら溺死する所であったが、Vashjや他の者の多くは呪われNagaへと変貌し溺死を免れた。
突如起こった変貌にも関わらず、Vashjは自らの記憶と性格を保持していた。そして、不老存在となっていた。Nagaの中で不老の恩恵を受けた者は、Vashjだけでは無かった。
●背徳者への忠誠 – Serving the Betrayer
IllidanはKil’jaedenとの約定を果たすため、新たな助力者を捜し求めた。そしてIllidanが深海に届く強力な呪文を使うと、Lady Vashjに率いられたNagaの一団が応えた。Vashjと他の者たちは、”大分断”(Sundering)以前から悪名高かったIllidanの名を覚えており、更に現在ではDemonと成ったその力に尊敬を抱いた。これにより、NagaたちはIllidanに仕えることに同意した。
IllidanとNagaたちはSargerasの眼として知られる魔法の宝具を手にし、その眼による破壊の魔法の呪文を”凍てつきし玉座”へと向けた。しかしその呪文の儀式は妨害され、破壊は失敗に終わった。失敗によるKil’jaedenとの約定の反故の懲罰から逃れるため、IllidanはOutlandへと逃げた。
●新たなる同盟者 – Further Allies
Blood Elfたちは魔法中毒に罹っており、中毒症状に苦しんでいた。VashjはNagaも同様に魔法中毒に苦しんでいたと説明し、IllidanこそがBlood Elfを救うことができるであろうと語った。Vashjは第三次戦争中にAzerothへとArchimondeを降臨させるために使用したポータルへとKael’thasたちを導き、そこからOutlandへと向かった。そして、両者は協力してWarden Maiev Shadowsongに捕らえられていたIllidanを解放した。
Kael’thasはIllidanに忠誠を誓い、Illidanに率いられたVashjと彼らはPit Lord Magtheridonを倒してBlack Templeを奪い取った。しかし、Illidanとその仲間たちはBlack Templeの奪取を喜ぶ間も無かった。魔法の嵐が吹き荒れるとKil’jaedenがOutlandに現れ、Illidanに再度”凍てつきし玉座”を破壊するよう命令した。
他に選択の余地も無く、IllidanはNagaとBlood ElfをAzerothへと向かわせた。最終的に、戦いはIllidanとDeath Knight Arthas Menethilとの一騎討ちによって決着した。Arthasはこの一騎討ちに勝利し、Illidanに対してAzerothから去り二度と戻って来るなと警告した。これによって、Illidanと、Lady Vashjを含めた同盟者たちはOutlandのBlack Templeへと戻った。